天使のラプソティ~声になる~
「お前、最近彼女できただろ」
リョータにずいっとせまられた。
「はぁ?何言ってんだよ」
昼休みの屋上。いつもの定位置で俺ら四人は昼飯を食べる。
購買のパンを食べ終わったリョータが、俺に顔を近づけてきた。
「お前ここんとこやけに楽しそうだし、付き合い悪くなったし、よくメールチェックしてるし。怪しい~」
横にいたアキラがニヤニヤして茶々を入れる。
「そりゃあ奏也は、今未央ちゃんに夢中だもんな~」
「まじで?奏也も彼女持ちになった?」
拓哉が驚いた顔で言った。
「違うって。彼女なんかできねーよ」
「じゃあ最近付き合い悪いのは何だよ。超怪しいんですけどー」
リョータは疑う眼差しで口を尖らせた。
「何って・・・・・」
俺は上を向いた。空を仰ぐ。
今日は雲ひとつ無い快晴だ。秋の日にこんな空は珍しい。
空に未央の顔を思い出す。あのはにかんだ笑顔があった。
「・・・・・アキラの観察眼ってすげーのな・・・・」
ぼそっと呟くと、リョータが反応した。
「え!?何!?そういう事!?」
からかってたアキラまで、驚いた顔をした。
「好きな子できた」
俺は空を見上げたまま言った。
心の中で呟く。
未央。