天使のラプソティ~声になる~


昼休み終了のチャイムが鳴った。グラウンドでサッカーしてた俺らは急いで教室に戻る。

「今日もお前未央ちゃんとこ行くの?」

その途中でアキラが訊いて来た。

「いや、今日は委員会あるしパス」

俺は片手を上げた。
アキラが興味ありげな顔をする。

「お前らってどこで会ってんだ?」
「前に俺あのこと猫の飼い主探してたって言ってただろ?その飼い主が見つかって、猫が入院してる病院に行ってるんだ」

「見つかったんだ。良かったな」
「おー。もうすぐ退院するぜ」

俺は笑って言った。




「じゃあ、退院したらお前らどこで会うんだ?」


突然のアキラの言葉に、理解するのに時間がかかった。

「は?」
「その猫が病院出たら、お前らもう病院で会うことなくなるじゃん。会う理由も無くなるわけだろ?」


「あ・・・・」

言われて初めて気づいた。



そっか・・・。

俺が想ってるだけで、俺ら別に付き合ってるわけでも何でもないんだもんな。

病院に行かなくなったら会う理由も無くなるんだ。




「あんまりのんびりできねぇんじゃねぇ?」




リョータの言葉が



胸にずっしりとのしかかった。




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