天使のラプソティ~声になる~
初デート?
「みんな本当にありがとうございました!今日は早くこの子を連れて帰ってゆっくりさせます」
病院を出て、中条が俺ら三人に頭を下げた。
「元気になって良かったな」
「はい!」
中条は、本当に嬉しそうに笑った。
キャリーケージに入れられたミルクも、にゃーにゃーと別れの言葉を言っていた。
「天羽さん、ミルクが外に出れるほど良くなったらうち来てね」
未央は戸惑いながらも、嬉しそうにうなずいた。
この二人は順調に仲良くなっているみたいでほっとする。
「じゃあね!」
中条は自分の自転車のカゴにミルクを入れて帰っていった。
「じゃあ僕もお客さんがいるから失礼するよ」
先生も病院の中へ戻っていく。
未央と二人きりになった。
未央が遠慮がちに片手を上げた。
あ・・・・。
未央がゆっくりと後ろに下がってく。
帰ってほしくない。
今そのままさよならしたら、もう会うことが無くなる気がする。
会う理由を何か作らないと・・・・・
「あのさ・・・・っ!」
俺は思い切って
未央を呼び止めた。