天使のラプソティ~声になる~
俺らはいつもの公園のベンチに座った。
未央が大事そうにさっき買った本が入ってる紙袋を抱えてる。
「何買ったんだ?」
未央は照れたように顔を赤くした。
紙袋からガサガサと本を取り出す。
表紙を俺に見せた。
「『発声レッスン』?」
俺はタイトルを読み上げる。
「これって歌の?」
未央は鞄から俺があげたノートを取り出した。
もう半分以上使ってある。
俺らが過ごした時間の分、ノートは進んでた。
『声を出すリハビリのためにも良いと思ったから・・・。私が声を出せるのは歌しかないので。
それに』
「それに?」
未央のノートを覗き込んだ。
未央が顔赤くする。
『いつか飯島さんの前で歌えるように。
そのときちゃんと歌えるように練習しようと思って・・・・。
飯島さんにはいっぱいお礼したいから、少しでも良い歌が歌いたいんです。』
俺は息を吸った。
未央の顔を見た。
未央は、
赤い顔で
照れたように微笑んだ。