天使のラプソティ~声になる~

放課後、俺はダッシュで家と反対方向に向かった。



その先は、桜凛女学院高校。





俺は正門に立って、未央を待った。



本当は、学校にまで押しかけるマネはしたくなかった。



未央にもすごく迷惑。


でもこうでもしなきゃ、会えないと思う。




昇降口から桜凛の生徒が次々に出てきた。


女子高の前にいる男子生徒はやっぱり目立つみたいで、みんな俺をチラチラ見てる。


何でかきゃー、なんて黄色い声までしてた。



俺は出てくる生徒の顔を横目で確認した。


未央は見当たらない。



びゅうっと木枯らしが吹いた。


「寒・・・・」

マフラーに顔をうずめる。


12月の真冬に外に立ってるのはちょっとキツイ。



近くの自販機から温かい飲み物が誘惑してる。



俺は未央とすれ違いをしないために必死に耐えた。

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