天使のラプソティ~声になる~
「飯島は何か歌わないの?」

隣にいた女子がカタログを渡してきた。

同じクラスの小林千沙。
この前まで席が隣同士だった。


「俺は音痴だから。リョータに歌わせとけよ」
「嘘つけ!ミスチル歌ってよ~」

小林がページをぱらぱらめくる。

「あ、あった。どれ歌う?」

俺がページを覗き込むと、小林も覗き込んできた。
顔がすごく近くなる。



何か・・・・・
やけにくっついてないか・・・・?



俺はさり気なく小林から離れた。

「飯島!デュエットしようよ!!」


遠藤が向かいの席から乗り出してきた。

何かすごく焦ってる。


「俺最近何にも聞いてねーから持ち歌少ないぞ?」

「前の歌とかでもいいよ!やろやろっ」


遠藤が必死だったから俺はうなずいた。



「じゃー選曲は俺にお任せで!」
リョータがばっと手を上げた。

「ってお前かよ!?」
「任せろ!絶対みんな知ってるメジャーなのにするから!」
「変なのにしないでよー?」

俺はマイクを渡されて、周りに言われたから立ち上がった。
遠藤が台の向こうから体を乗り出す。


イントロが流れはじめた。
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