天使のラプソティ~声になる~
第5章【未央視点】
未央の気持ち
飯島さんは
まるで私にとって光のような人だった。
声が出せなくて
友達もいなくて
ずっと暗闇で一人ぼっちの私を
光のほうへ導いてくれた。
初めて飯島さんに会ったとき
私の時間が止まった。
すごくきれいな涙を流す人だなぁって思った。
男の子の泣き顔なんて初めて見たから、すごくびっくりした。
だからなんとなく公園に行ったら、また会えた。
茶髪に染められた短めの髪。
日焼けした肌。
着崩された東高の制服。
始めは怖い人なのかと思ったけど、目がすごく優しかった。
子犬のような潤んだ瞳をしてた。
歌を歌ってって言われたときはすごくびっくりした。
人とコミュニケーションをとるのが怖かった私は逃げちゃった。
でも、飯島さんはゆっくりゆっくり私に近づいてきてくれた。
私に気を使って、私が傷つかないようにすごく優しくしてくれた。
飯島さんは、私をいつも楽しいほうへ導いてくれた。
閉じこもってた私を、きらきらした光のほうへいつも連れて行ってくれた。
飯島さんに出会って、1色だった私の世界はカラフルな世界に変わった。