【X'mas】可愛い君へ。
「たっだいま~!」
勢いよく玄関のドアを開ければ、そこはいつもと変わらず真っ暗な光景。
けれど。
けして、独り言の挨拶を口にしたわけでは無い。
「みゃ~!」
去年までとの違い。
それは、その真っ暗な光景からトテトテと歩いてくるコイツ。
待ってました!と言わんばかりの俺の脚に体をこすり付けるこの仕草が可愛くて仕方が無い。
いつものようにその小さな体を抱き上げると、クリッとした大きな目で俺をジーッと見つめた。
「フィオ~。待たせたな。」
「みゃ~。」
まるでキスをするかのように、その口を俺の鼻にくっつける姿は、何度経験しても癒される物を感じてしまう。
そんなフィオは、今年の6月に俺が飼い始めた小さな黒猫。
飼い始めたって言っても、ペットショップで売ってたわけでは無く、マンションの裏にある小さな空き地で母親猫に見捨てられて蹲っているのを俺が助けたのが事の始まり。
その詳しい事はまた、今度話すとして…。
「なぁ、フィオ!今日は、クリスマスっていう日なんだぞ。」
「にゃ?」