クリスマスの贈り物
「うわぁ~
サキのお家がどんどん
小さくなってくよぉ。」


サキちゃんは見習いサンタの
アシスタントとして
一緒にソリに乗っていました。


ソリはぐんぐん天高く昇って
ゆきます。


「ねぇ……見習いサンタさん、
どうしてこのソリはトナカイじゃないの?」


なんと、赤い帽子を被った二匹のネコが
このソリを引いていました。


「はい、僕はまだ見習いで
トナカイを上手く扱えなくて……
代わりにネコが引いてくれます。
口は悪いけどとても優秀なネコたちで
名前もあるんですよ。
セバスチャンともう一匹は
確かーーー忘れました。」


ニャオと
一声鳴くとソリのスピードは
更に速くなりました。


「さあ、急ぎましょう。
間に合わなくなってしまいます。」









サキちゃんはほとんどソリに
乗っているだけでしたが、
それでもサキちゃんなりに
出来ることを手伝っていました。
袋からプレゼントの包みを出したり……。


「ふう……、サキちゃんの
お陰で随分と早く作業が進みましたよ。」


「本当?良かった!
ねぇ、見習いサンタさん、
聞きたいことがあるんだけど……」


「なんです?」


「どうして、大人の人にばかり
プレゼントを配っていたの?
プレゼントを貰えるのは
お利口にしている子供だけじゃないの?」


サキちゃんは不思議に思っていました。
見習いサンタが大人にばかり
プレゼントを配っていたからです。


「ああ、それは僕が
大人担当だからですよ。
サキちゃん、大人もね
お利口にしていると
プレゼントを貰えるんですよ。
特にみんなの為に働いている
大人たちにね」


「みんなの為に……。」


サキちゃんはふと、
パパとママの事を思い出しました。
パパもママもいつだって
お店に来てくれるお客さんの為に
一生懸命、美味しいケーキを
作っていることを。
そして、お店に来てくれたお客さんが
みぃーんな、嬉しそうな笑顔で
帰っていくことを。


「さあ、次のお家で終わりです。
おや?」


見習いサンタはリストを見て
困った顔をしました。


「サキちゃん、
次はサキちゃんのパパとママに
クリスマスプレゼントを
届けることになっています。
だけど、サキちゃんは
お家にクリスマスが来ないほうが
いいのですね?」


見習いサンタにそう聞かれた
サキちゃんはーーーー







「だめっ!
パパとママにも
クリスマスのプレゼントを
届けなくちゃ!
みんなの為に一生懸命
お仕事してるもん。」






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