クリスマスの贈り物
ネコ 1 「お前言えや」
ネコ 2 「何でやねん、お前が言うたらええんちゃうん?」
ネコ 1 「言える訳ないやろ、世話なってんのに」
ネコ 2 「せやけど、はよ言わなえらい事でなるで」
サンタ 1 「どうした?セバスチャン?緊張してるのか?無理もない初仕事だからな」
ネコ 2 「えっ、お前、セバスチャンとか呼ばれてんの?ププッ、ウケるぅ~」
ネコ 1 「笑うなや、ご主人様がつけてくれたんや!」
ネコ 2 「つか、そのご主人様がお前の事、トナカイと間違えてソリひかそうとしてるやんけ。おまけにクリスマス終わってんやん。バレンタインデーやで、サンタ関係ないやん」
ネコ 1 「そんな、細かいこと言うなや。確かに俺、トナカイとちゃう。せやけど、俺をあの春の穏やかさから救ってくれたんは、このご主人様なんや!」
ネコ 2 「つか、そこは嘘でも冬の寒さとか言うとけよ。春の穏やかさとか普通にええやん」
ネコ 1 「ああ~、春を甘く見てるやろ?そういうやつが五月病とかなるねん。ほんで、会社辞めんねん」
ネコ 2 「会社って俺らネコやん。つか、じいさんらにとにかく、教えなこのままやと町中混乱してしまう」
ネコ 1 「あの~ご主人様、お話が…」
サンタ 1「どうした?セバスチャン」
ネコ 2 「セバスチャンやてぇ~クククク…」
ドスッ
ネコ 2 「イタタタタ…脇腹なぐんなや…お前が一人やと心細い言うから、ついてきたったのに」
ネコ 1 「ちょっと、黙ってて。あの~ご主人様。僕が言うのもなんなんですが…クリスマスもう終わりましたけど…それに僕、ただのノラネコなんでソリとか言われても無理っすよね…」
ネコは思いきって言ってみた
すると
サンタ 1 「ホォーホッホッーホォー
セバスチャン、元気がないと思ったらそんな事を気にしておったのか?心配いらん。ちゃんとわかってるぞ。クリスマスでないことも、お前がトナカイでないことも。もちろん、友達君もネコだってことわかってるぞ」
ネコ 1 2 「「へっ?」」
ネコ 2 「じゃあ、あんたら何やってんねん。ただ、赤い服着たじいさんが騒いでるだけやん」
ネコ 1 「おい、ご主人様に失礼だぞ」
サンタ 1「かまわんよ、セバスチャン
では、これからわしらがすることを一緒に見ててくれるかな?」
サンタはそう言うと町にある一番高い山のてっぺんに乗り一斉に夜空に向けて音楽を奏でそして歌い始めました
それは、それは
楽しくて、聞いているだけで
幸せな気持ちになりました
ネコ達はそれぞれ、まだ母ネコと
一緒にいた頃の事を思い出し、胸がジィーン
と、しました
町の人達もどこからか聞こえる
とても優しい歌声につつまれて
心があったかい気持ちで一杯になりました
自然と誰かを
そして、
自分の事も
大切に思えました
サンタたちはその夜
ずっと歌い続けました
人々が優しい気持ちで一杯になるように
悲しかったり
寂しい思いをしなくてもいいように
そして
争わなくてもいいように
ずっと
ずっと
歌いました
世界中の人々が
サンタの優しさに
つつみこまれました
ネコたちは聞きました
「どうして、クリスマスでもないのにこんな事するの?」
サンタは満面の笑みを浮かべながら言いました
「バレンタインデーにわしらからの愛をプレゼントじゃよ。チョコはないがな」
と、言ってウインクしました
ネコ 2 「なんや今の?ウインクのつもりか?それとも、ゴミでも入ったか?実はコンタクトか?しかもまだハードちゃうんか?ハードレンズは痛いからなゴミ入ったら」
ネコ 1 「要らんこというなっ!ほら鈴くらい振れるやろ、そらっ」
ネコたちもサンタたちに加わり
歌う代わりに鈴をならし尻尾をふりながら
踊りました
それを見たサンタは大喜び
ますます、大きな声で歌います
サンタたちの
楽しい歌はまだまだ
終わらないようです
おしまい
ん?
これ、クリスマス?
まっ、いっか(笑)