普通に輝くOL
胸を張って生きてます。
休日といえども、寝坊しまくれば顔がむくんでしまう。
のんびりだらだらすれば、あっというまに1日が過ぎて終わってしまう。
だったら、早朝から、ジョギングでもやってすっきりOLな生活するのが一番!
安直な考えしか浮かばない、寝ぼけた朝だったが、村野山公園までたどり着くとさすがに目も覚め、何らかのやる気が出て来る。
そんなすがすがしい朝なのに、目覚めでいきなり、おばあさんの悲鳴が上がった。
「だ、だれか・・・ひったくりよーーーー!取り返してぇーーーー!」
郁香(ふみか)が声のする方を見ると、犯人が自分の方へ向かって走ってくるではないか!
咄嗟に足をひっかけて犯人を転ばせた郁香はお婆さんがとられたバッグをとりかえそうとしたが、起き上がった犯人に背後をとられて抱き着かれてしまった。
「い、いやっ・・・こんなヤツに・・・やだ!」
そう呟いた途端、背後にいた犯人がスッと離れてどさっと地面に倒れるのがわかった。
「わたし・・・助かったの・・・ね。」
安堵感もあったのか、郁香はそのまま意識をなくしてしまった。
目が覚めると、そこは病院の個室のベッドの上で、見知らぬ男性2人が笑顔でのぞきこんでいた。
「気がついたかい?」
「意識がもどってよかった・・・。」
何となく顔が似ているので兄弟だというのがわかるが、ひとりは大学生っぽく、もうひとりはジャージー姿でもどこか高級感の漂うビジネスマン風の大人の男性だった。
「ここは病院ですよね・・・。私どうして?」
「ひったくりを止めようとして、逆に羽交い絞めにされたんですよ。」
「そこを俺が、男の尻にケリをいれて、兄貴がパンチでのしてバッグをとりかえして、君を助けたというわけだよ。」
「じゃ、あのおばあさんのバッグはもどったのね?」
「ああ、ちゃんと返しておいたし、警察官も呼んで説明したから大丈夫。」
「あとで警察で調書はとられるだろうけどね。」
「ありがとうございます。あの・・・私、家に帰ってもいいですよね。」
「たぶん・・・ね。看護師さんに言って帰っていいと思うけど。」
「あの・・・病院の費用はどうしたら・・・私、ジョギング中だったから小銭しか持ってなくて。
家にもどったらお返ししますので。」
「それなら、家まで車で送らせてもらうよ。
まだ、ふらつくだろうし・・・。
住所か目印になるところを教えてくれるかな?」
「はい。」
郁香は2人に自宅のアパートへと送ってもらい、お金をとりに部屋の鍵を開けようとした。
「君は、伊佐木郁香さんなんですか? 楢崎郁香さんじゃなくて?」
「えっ?どうして・・・楢崎って・・・。」
2人は顔を見合わせて驚いていた。
「何か、私に御用があるんですか?」
「うん。楢崎徹朗というおじいさんが亡くなったのをご存じですか?」
「亡くなったんですか?
たぶん、その人って私の祖父だと思います。」
「たぶん?ずっと会っていなかったの?」
「はい。そもそも、父は私が小さい頃に家を飛び出してしまって消息不明だったし、母と私でがんばってきたけれど、昨年母も亡くなって、なんとか就職だけは決めて、1年を過ぎ、自立生活らしいものをやっと送れるようになりました。」
「たったひとりで、ここでがんばっていたんだね。
じゃ、もうひとりでがんばらなくてもいいんだよ。」
「あなたたちは何者ですか?どうして、そんなことを言うんですか?」
「僕たちは花司直登と清登。亡くなられた君のおじいさんから君のことを頼まれたんだ。」
「おじいさんが私を?会ったこともないのに?」
「君に記憶がなくても、おじいさんは君をときどき見守っていたことを話しておられました。
それで亡くなられる前に遺産と生活の世話を僕たちに頼むとおっしゃったんです。」
「だったら、いらないわ。
私が就職難で悩んでいたならすがったかもしれないけれど、今さら父方の祖父なんてピンときませんし。
就職もおかげさまでできて1年たちましたから、私ひとりでやっていけます。」
「ちなみにどこで働いてるの?」
「楢司コーポレーションの広報課です。」
「ぶっ!!!!うちの会社か。」
「うちの会社って・・・あなた方も社員なんですか?」
「いや、弟はまだ大学生で、僕だけ会社に・・・」
「そうなんですか。同じとこだったんですか・・・ぜんぜん見かけないみたいだからどこの人かと思っちゃいました。
で、おじいさんとはどういうご関係だったんですか?」
「恩人で、育ての親みたいな人でした。
だから今度は、僕たちで君を支えてあげたいと思いましてね。
今日はいずれにせよ、ここにおじゃまするつもりだったんです。」
「あ、じゃあ用事はすんだんですよね。
ありがとうございました。」
「用件は済んでいません!!僕らと来てもらわなければ困るんです。」
「そんなこと言われたってぇーーーーー!」
のんびりだらだらすれば、あっというまに1日が過ぎて終わってしまう。
だったら、早朝から、ジョギングでもやってすっきりOLな生活するのが一番!
安直な考えしか浮かばない、寝ぼけた朝だったが、村野山公園までたどり着くとさすがに目も覚め、何らかのやる気が出て来る。
そんなすがすがしい朝なのに、目覚めでいきなり、おばあさんの悲鳴が上がった。
「だ、だれか・・・ひったくりよーーーー!取り返してぇーーーー!」
郁香(ふみか)が声のする方を見ると、犯人が自分の方へ向かって走ってくるではないか!
咄嗟に足をひっかけて犯人を転ばせた郁香はお婆さんがとられたバッグをとりかえそうとしたが、起き上がった犯人に背後をとられて抱き着かれてしまった。
「い、いやっ・・・こんなヤツに・・・やだ!」
そう呟いた途端、背後にいた犯人がスッと離れてどさっと地面に倒れるのがわかった。
「わたし・・・助かったの・・・ね。」
安堵感もあったのか、郁香はそのまま意識をなくしてしまった。
目が覚めると、そこは病院の個室のベッドの上で、見知らぬ男性2人が笑顔でのぞきこんでいた。
「気がついたかい?」
「意識がもどってよかった・・・。」
何となく顔が似ているので兄弟だというのがわかるが、ひとりは大学生っぽく、もうひとりはジャージー姿でもどこか高級感の漂うビジネスマン風の大人の男性だった。
「ここは病院ですよね・・・。私どうして?」
「ひったくりを止めようとして、逆に羽交い絞めにされたんですよ。」
「そこを俺が、男の尻にケリをいれて、兄貴がパンチでのしてバッグをとりかえして、君を助けたというわけだよ。」
「じゃ、あのおばあさんのバッグはもどったのね?」
「ああ、ちゃんと返しておいたし、警察官も呼んで説明したから大丈夫。」
「あとで警察で調書はとられるだろうけどね。」
「ありがとうございます。あの・・・私、家に帰ってもいいですよね。」
「たぶん・・・ね。看護師さんに言って帰っていいと思うけど。」
「あの・・・病院の費用はどうしたら・・・私、ジョギング中だったから小銭しか持ってなくて。
家にもどったらお返ししますので。」
「それなら、家まで車で送らせてもらうよ。
まだ、ふらつくだろうし・・・。
住所か目印になるところを教えてくれるかな?」
「はい。」
郁香は2人に自宅のアパートへと送ってもらい、お金をとりに部屋の鍵を開けようとした。
「君は、伊佐木郁香さんなんですか? 楢崎郁香さんじゃなくて?」
「えっ?どうして・・・楢崎って・・・。」
2人は顔を見合わせて驚いていた。
「何か、私に御用があるんですか?」
「うん。楢崎徹朗というおじいさんが亡くなったのをご存じですか?」
「亡くなったんですか?
たぶん、その人って私の祖父だと思います。」
「たぶん?ずっと会っていなかったの?」
「はい。そもそも、父は私が小さい頃に家を飛び出してしまって消息不明だったし、母と私でがんばってきたけれど、昨年母も亡くなって、なんとか就職だけは決めて、1年を過ぎ、自立生活らしいものをやっと送れるようになりました。」
「たったひとりで、ここでがんばっていたんだね。
じゃ、もうひとりでがんばらなくてもいいんだよ。」
「あなたたちは何者ですか?どうして、そんなことを言うんですか?」
「僕たちは花司直登と清登。亡くなられた君のおじいさんから君のことを頼まれたんだ。」
「おじいさんが私を?会ったこともないのに?」
「君に記憶がなくても、おじいさんは君をときどき見守っていたことを話しておられました。
それで亡くなられる前に遺産と生活の世話を僕たちに頼むとおっしゃったんです。」
「だったら、いらないわ。
私が就職難で悩んでいたならすがったかもしれないけれど、今さら父方の祖父なんてピンときませんし。
就職もおかげさまでできて1年たちましたから、私ひとりでやっていけます。」
「ちなみにどこで働いてるの?」
「楢司コーポレーションの広報課です。」
「ぶっ!!!!うちの会社か。」
「うちの会社って・・・あなた方も社員なんですか?」
「いや、弟はまだ大学生で、僕だけ会社に・・・」
「そうなんですか。同じとこだったんですか・・・ぜんぜん見かけないみたいだからどこの人かと思っちゃいました。
で、おじいさんとはどういうご関係だったんですか?」
「恩人で、育ての親みたいな人でした。
だから今度は、僕たちで君を支えてあげたいと思いましてね。
今日はいずれにせよ、ここにおじゃまするつもりだったんです。」
「あ、じゃあ用事はすんだんですよね。
ありがとうございました。」
「用件は済んでいません!!僕らと来てもらわなければ困るんです。」
「そんなこと言われたってぇーーーーー!」
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