普通に輝くOL
彰登は清登の隣の部屋を使うことになって、それぞれに寝つきにくい夜になった。
とくに優登は、おどろいた郁香の顔が頭に浮かんでしまい、郁香に謝罪のメールを送ったが返事はなかった。
(いくらなんでも、みんなの前で告白はショックだっただろうな。
2人のときも告白の素振りをしなかったもんなぁ・・・。バカだ俺。)
コンコン・・・コンコン・・・!
「はい、開いてるよ。」
「直にい・・・少しお話してもいい?」
「郁香!どうした?もう、かなり遅いぞ。」
「じゃ、明日以降でもいいです・・・ごめんなさ・・」
「だめだとは言ってない!僕に何か言いたいことがあったから来たんだろう?」
「ええ。」
「そこの椅子に座って。何か飲み物を持ってくる。」
直登は音をさせないように、インスタントの紅茶だけを持って部屋にもどった。
「音をさせるとあいつらが君と勘違いすると困るから、悪いけど今夜はインスタントな。」
「直にいったら・・・。」
「で、どうしたんだ?」
「私がここに来たのは、家族がほしかったからなのは言いましたよね。」
「うん。いっぺんに兄弟ができたって君はよろこんだ。」
「でも、そうじゃなかったんですよね。
人数がいてもいなくても、私はひとり・・・他人だったんです。」
「出て行くつもりなのか、この家の主なのに?」
「お貸しします。花司家の皆さんに・・・。
もともと小さなアパート暮らしは自分の力でやってきたんです。
ここの家賃収入があれば、生活も楽になりますし。」
「そんなに、彰登や優登といるのが嫌か?
仕事場では嫌でも顔をあわせることになるけど。」
「いるのが嫌っていうわけじゃないですけど、言葉できいてしまったらやっぱり意識しないわけにはいかないし。
職場だったら、無視したり、別の人といっしょにいるとかかわせますし。
とにかく、今はまだ仕事で覚えなきゃいけないことが多いし、彰登さんや長月さんを見てると、私も専門的な勉強をした方がいいと思うから、仕事が終わったらそういう学校に行こうかなんて・・・考えたり。」
「言っておくが、うちの会社は主に不動産の仲介から管理をしている会社であって、デザインだの設計だのというのは、うちの親会社というか徹朗じいさんが売り渡した会社が本来請け負う仕事だ。
今やっている女性向けマンションはうちが管理を担当するのが前提だから、うちに流してきてるだけ。
広報は宣伝活動や、伝達するのが役目で作り上げるような部署はうちにはない。
君がどうしても、彰登に張りあうだけの力を欲していてその道を進みたいなら、僕は君から退職願を受け取らなきゃいけなくなってしまう。」
「あ・・・そこまでは考えてなかったです。」
「もともと君は経理事務で採用されているし、そっちへの移動は考えないのかな?」
「えっ・・・今さらそんな。いくら社長だからって移動させるんですか・・・ひどいです。
だったら、最初から広報じゃなくて総務や庶務や受付でよかったのに。
その方が、仕事に欲を出さずに、早くいい人を見つけて寿退社狙えます。」
「ごめん。それ・・・僕が反対した。」
「えっ!?」
「確かに寿退社狙いにはいい部署かもしれないが・・・そこらは僕と直接の接点がない。
統括するのは役員の誰かか、せいぜい部長で事が済んでしまうだろ。
こじんまりしたところで、僕が直接、様子を見に行っても不振がられない部署っていうと、広報、秘書、統括、渉外あたりで・・・後の部署はベテランが並ぶところだから、新人はいらない。」
「直登さんは操作してたってことですよね。
やっぱり、私の財産目的だったってことですか。
兄弟の誰かと結婚すれば、取り上げられるって・・・」
「郁香からは何も取り上げるつもりはないって、ここにきてもらうときに言った。
必要ならば、正当に君から購入するために交渉する。」
「ウソ!だったらどうして優登があんなこといきなり言うんですか。」
「それは優登が君のことを好きだからだろう。
僕も、突然で驚いたけど・・・彼は今ありったけの勇気をふりしぼって言ったんだ。
それだけはわかってやってほしい。
君の財産狙いとか、彰登のようなちょっとイヤラシイ考えはぜんぜん優登にはない。
将来を見据えて、真剣に考えた結果出た言葉だと思う。
あいつは年齢より、考え方が堅実でしっかりしてるから。
それだけはわかってやってくれ。ふざけてるんじゃないから。」
「わかってます。わかってるから・・・逃げたくなったんです。
でも、逃げてしまったら・・・逃げてここを出ていったら・・・。うっ・・。」
「どうした?なんでそんなに泣く?」
とくに優登は、おどろいた郁香の顔が頭に浮かんでしまい、郁香に謝罪のメールを送ったが返事はなかった。
(いくらなんでも、みんなの前で告白はショックだっただろうな。
2人のときも告白の素振りをしなかったもんなぁ・・・。バカだ俺。)
コンコン・・・コンコン・・・!
「はい、開いてるよ。」
「直にい・・・少しお話してもいい?」
「郁香!どうした?もう、かなり遅いぞ。」
「じゃ、明日以降でもいいです・・・ごめんなさ・・」
「だめだとは言ってない!僕に何か言いたいことがあったから来たんだろう?」
「ええ。」
「そこの椅子に座って。何か飲み物を持ってくる。」
直登は音をさせないように、インスタントの紅茶だけを持って部屋にもどった。
「音をさせるとあいつらが君と勘違いすると困るから、悪いけど今夜はインスタントな。」
「直にいったら・・・。」
「で、どうしたんだ?」
「私がここに来たのは、家族がほしかったからなのは言いましたよね。」
「うん。いっぺんに兄弟ができたって君はよろこんだ。」
「でも、そうじゃなかったんですよね。
人数がいてもいなくても、私はひとり・・・他人だったんです。」
「出て行くつもりなのか、この家の主なのに?」
「お貸しします。花司家の皆さんに・・・。
もともと小さなアパート暮らしは自分の力でやってきたんです。
ここの家賃収入があれば、生活も楽になりますし。」
「そんなに、彰登や優登といるのが嫌か?
仕事場では嫌でも顔をあわせることになるけど。」
「いるのが嫌っていうわけじゃないですけど、言葉できいてしまったらやっぱり意識しないわけにはいかないし。
職場だったら、無視したり、別の人といっしょにいるとかかわせますし。
とにかく、今はまだ仕事で覚えなきゃいけないことが多いし、彰登さんや長月さんを見てると、私も専門的な勉強をした方がいいと思うから、仕事が終わったらそういう学校に行こうかなんて・・・考えたり。」
「言っておくが、うちの会社は主に不動産の仲介から管理をしている会社であって、デザインだの設計だのというのは、うちの親会社というか徹朗じいさんが売り渡した会社が本来請け負う仕事だ。
今やっている女性向けマンションはうちが管理を担当するのが前提だから、うちに流してきてるだけ。
広報は宣伝活動や、伝達するのが役目で作り上げるような部署はうちにはない。
君がどうしても、彰登に張りあうだけの力を欲していてその道を進みたいなら、僕は君から退職願を受け取らなきゃいけなくなってしまう。」
「あ・・・そこまでは考えてなかったです。」
「もともと君は経理事務で採用されているし、そっちへの移動は考えないのかな?」
「えっ・・・今さらそんな。いくら社長だからって移動させるんですか・・・ひどいです。
だったら、最初から広報じゃなくて総務や庶務や受付でよかったのに。
その方が、仕事に欲を出さずに、早くいい人を見つけて寿退社狙えます。」
「ごめん。それ・・・僕が反対した。」
「えっ!?」
「確かに寿退社狙いにはいい部署かもしれないが・・・そこらは僕と直接の接点がない。
統括するのは役員の誰かか、せいぜい部長で事が済んでしまうだろ。
こじんまりしたところで、僕が直接、様子を見に行っても不振がられない部署っていうと、広報、秘書、統括、渉外あたりで・・・後の部署はベテランが並ぶところだから、新人はいらない。」
「直登さんは操作してたってことですよね。
やっぱり、私の財産目的だったってことですか。
兄弟の誰かと結婚すれば、取り上げられるって・・・」
「郁香からは何も取り上げるつもりはないって、ここにきてもらうときに言った。
必要ならば、正当に君から購入するために交渉する。」
「ウソ!だったらどうして優登があんなこといきなり言うんですか。」
「それは優登が君のことを好きだからだろう。
僕も、突然で驚いたけど・・・彼は今ありったけの勇気をふりしぼって言ったんだ。
それだけはわかってやってほしい。
君の財産狙いとか、彰登のようなちょっとイヤラシイ考えはぜんぜん優登にはない。
将来を見据えて、真剣に考えた結果出た言葉だと思う。
あいつは年齢より、考え方が堅実でしっかりしてるから。
それだけはわかってやってくれ。ふざけてるんじゃないから。」
「わかってます。わかってるから・・・逃げたくなったんです。
でも、逃げてしまったら・・・逃げてここを出ていったら・・・。うっ・・。」
「どうした?なんでそんなに泣く?」