普通に輝くOL
老人たちの家
長月の作品それぞれに、郁香は声をあげて感動した。
「すごいわ。都会型のテーマは森なのね。とても癒されますよね。
郊外型は都会が恋しいってイルミネーションなのかと思えば、湖なのね。
意表をつかれてしまったわ。」
「そう、郊外といってもそれは田舎暮らしではなくて、商業地から見て人が住む場所な色の濃い地域ということでやはり癒しを欲する人が多いと思ったのです。」
「で・・・これらを彰登さんがケチをつけたの?」
「あからさまではありませんが、壮大なテーマなら自分の方が得意分野だとおっしゃって。
確かに今までの彰登さんの作風からして壮大なテーマが多いですが、ニアンスが違うっていうか・・・男性的なんです。」
「以前、私が説明したところね。イメージが壮大でも、女性が求めるものは男性の求める癒しとは違います。
大きなものがあってそれに負けない、本来なら弱いもの、小さいもの、かわいいもの。
そういうものを女性は求めます。
できればそういう自分がいて、大きな誰かに支えられたいって思いを描きます。」
「はい。以前あなたにそうお聞きして、再度リサーチしてみてそのとおりだと思って、湖の中の生き物や近隣の花、水にふれる人・・・森には動物や昆虫、そして花。
対称となるものを置いてみて遠近法みたいな図柄を作ってみました。」
「とてもすばらしいです。採用1位なのですから誰に何をいわれようと、がんばってください。
たぶん、部長もわかっておられると思います。
あとで、さりげなく、私もきいてみますから。」
「ありがとうございます。・・・だけど・・・できればこのまま僕はあなたと相談しながら仕事をしたいんですが・・・。」
「ごめんなさい。それはダメなの。」
「わかってますよ、さっき社長にも言われました。
それとあなたと話す前は自分を通してくれとね。
とても愛されているんですね。」
「えっ?・・・あ、社長にはとてもよくしていただいています。
愛されてるといえば・・・確かにそうなんでしょうけど。
(なんかさっきから、直登さんとのことで誤解されてるような気がするんだけど・・・まぁ直登さんの考えがあって言ったんだろうし、合せておいた方がいいんでしょうね。そうしようっと。)
「とにかく、君にデザインの報告ができて感想もきけてとてもよかったよ。
次はできあがりを直接、見に来てもらえれば最高だ。
じゃ、これで失礼するね。お幸せに・・・。」
「はぁ?お幸せ????」
その夜、直登は日付が変わってからもどってきた。
「あれ、まだ寝てなかったのかい?」
「ええ、ちょっとききたいことがあったし。
それより、このところずっと遅いし疲れてた顔してるね。
何か仕事で困ったことになっているの?」
「きいてくれるのかな?」
「ええ。長月さんを通してくれたお礼も含めてね。」
「そっちはいい知らせだったみたいだね。」
「そうよ。女性用マンションの都会型と郊外型の内装がとてもいい感じだったから、うれしくて。
それでね・・・忙しいところ申し訳ないんだけど、彰登さんが長月さんにイジワルするのはやめさせてほしいの。」
「う~ん、彰登のことは難しいから長月くんには困ったら社長室へきてもらうようにしたよ。
そこから、君のとこで感想つかんで、部長に決定してもらった方が長月くんにとってはうれしいはずだからね。」
「なるほどね。で、直登さんのお困りごとって何?」
「じつは・・・ある古いマンションで、リフォームをする予定なんだけど、生活保護のお年寄りや年金生活者の住民ばかりで、今まで耐震、防水など補修をしてきたけれど、毎度最低限しかやってなくて。
とうとう、もうそんなこと言ってられない状況まできたマンションなんだよ。
できればみんな引っ越してくれたらと思うんだけど・・・そうもいかなくてね。」
「それってよく聞こえてくる話よね。
ニュータウンも年月がたてば、住民も年をとって建物は建て替え時期って。」
「うん。ただ・・・その問題のマンションは残ってる世帯は3世帯だけでね。
わけありの人ばかりだから、どう切り出そうかと思ってる。
お金を渡して立ち退きをせまってもきっと、出ていかないような人たちで・・・。」
「そう・・・あとでその人たちの事情っていうのを教えてくれる?
私にもいい知恵出せるかもしれないし・・・。
それより、直登さん顔色があまりよくないし、すぐ寝た方がいいわ。
明日は藤子さんがごちそうを作ってくれるらしいから、しっかり食べましょう。」
「そだな・・・おやすみ。」
「すごいわ。都会型のテーマは森なのね。とても癒されますよね。
郊外型は都会が恋しいってイルミネーションなのかと思えば、湖なのね。
意表をつかれてしまったわ。」
「そう、郊外といってもそれは田舎暮らしではなくて、商業地から見て人が住む場所な色の濃い地域ということでやはり癒しを欲する人が多いと思ったのです。」
「で・・・これらを彰登さんがケチをつけたの?」
「あからさまではありませんが、壮大なテーマなら自分の方が得意分野だとおっしゃって。
確かに今までの彰登さんの作風からして壮大なテーマが多いですが、ニアンスが違うっていうか・・・男性的なんです。」
「以前、私が説明したところね。イメージが壮大でも、女性が求めるものは男性の求める癒しとは違います。
大きなものがあってそれに負けない、本来なら弱いもの、小さいもの、かわいいもの。
そういうものを女性は求めます。
できればそういう自分がいて、大きな誰かに支えられたいって思いを描きます。」
「はい。以前あなたにそうお聞きして、再度リサーチしてみてそのとおりだと思って、湖の中の生き物や近隣の花、水にふれる人・・・森には動物や昆虫、そして花。
対称となるものを置いてみて遠近法みたいな図柄を作ってみました。」
「とてもすばらしいです。採用1位なのですから誰に何をいわれようと、がんばってください。
たぶん、部長もわかっておられると思います。
あとで、さりげなく、私もきいてみますから。」
「ありがとうございます。・・・だけど・・・できればこのまま僕はあなたと相談しながら仕事をしたいんですが・・・。」
「ごめんなさい。それはダメなの。」
「わかってますよ、さっき社長にも言われました。
それとあなたと話す前は自分を通してくれとね。
とても愛されているんですね。」
「えっ?・・・あ、社長にはとてもよくしていただいています。
愛されてるといえば・・・確かにそうなんでしょうけど。
(なんかさっきから、直登さんとのことで誤解されてるような気がするんだけど・・・まぁ直登さんの考えがあって言ったんだろうし、合せておいた方がいいんでしょうね。そうしようっと。)
「とにかく、君にデザインの報告ができて感想もきけてとてもよかったよ。
次はできあがりを直接、見に来てもらえれば最高だ。
じゃ、これで失礼するね。お幸せに・・・。」
「はぁ?お幸せ????」
その夜、直登は日付が変わってからもどってきた。
「あれ、まだ寝てなかったのかい?」
「ええ、ちょっとききたいことがあったし。
それより、このところずっと遅いし疲れてた顔してるね。
何か仕事で困ったことになっているの?」
「きいてくれるのかな?」
「ええ。長月さんを通してくれたお礼も含めてね。」
「そっちはいい知らせだったみたいだね。」
「そうよ。女性用マンションの都会型と郊外型の内装がとてもいい感じだったから、うれしくて。
それでね・・・忙しいところ申し訳ないんだけど、彰登さんが長月さんにイジワルするのはやめさせてほしいの。」
「う~ん、彰登のことは難しいから長月くんには困ったら社長室へきてもらうようにしたよ。
そこから、君のとこで感想つかんで、部長に決定してもらった方が長月くんにとってはうれしいはずだからね。」
「なるほどね。で、直登さんのお困りごとって何?」
「じつは・・・ある古いマンションで、リフォームをする予定なんだけど、生活保護のお年寄りや年金生活者の住民ばかりで、今まで耐震、防水など補修をしてきたけれど、毎度最低限しかやってなくて。
とうとう、もうそんなこと言ってられない状況まできたマンションなんだよ。
できればみんな引っ越してくれたらと思うんだけど・・・そうもいかなくてね。」
「それってよく聞こえてくる話よね。
ニュータウンも年月がたてば、住民も年をとって建物は建て替え時期って。」
「うん。ただ・・・その問題のマンションは残ってる世帯は3世帯だけでね。
わけありの人ばかりだから、どう切り出そうかと思ってる。
お金を渡して立ち退きをせまってもきっと、出ていかないような人たちで・・・。」
「そう・・・あとでその人たちの事情っていうのを教えてくれる?
私にもいい知恵出せるかもしれないし・・・。
それより、直登さん顔色があまりよくないし、すぐ寝た方がいいわ。
明日は藤子さんがごちそうを作ってくれるらしいから、しっかり食べましょう。」
「そだな・・・おやすみ。」