普通に輝くOL
高下美代子は郁香たちが到着する前にすでに喫茶店にいて先にコーヒーを飲んでいた。
「高下さん、予定より早く来られたんですね。
お待たせしてすみません。」
「いえ、私・・・早く相談にのっていただきたくて・・・。
あの・・・そちらの方はどういった方ですか?」
美代子が直登の姿を見るなり、そう言ったことに対して郁香は驚いた。
「どういった方って・・・この人が花司直登さんですよ。
あなたのお腹の赤ちゃんのお父さんなんじゃ?」
「ち、違いますよ。楢司コーポレーションの社長ですよ。
こんなお若い方じゃありません。もっと落ち着いた感じの・・・」
「ちょ、ちょっと待って。
落ち着いた感じって・・・もしかしてこの男でしょうか?」
直登はタブレットPCを取り出すと兄弟と広登の家族全員で写っている写真を美代子に見せた。
「あっ、この人です。
この人が言ったんです。『今夜のことは早く忘れて元気にこれからを生きていけ』って・・・。」
「行きずりで関係してしまったのか?」
「直登さん!」
「失礼しました。つい驚いてしまって・・・。
こいつは僕の弟で副社長の花司広登といいます。
すぐにあなたへの責任追及をしたいところではありますが・・・こいつにはすでに家庭がある。
妻子がいるんです。
だから・・・結婚ってわけにはいかないと思う。
君との間にとてつもない愛情があれば別だけど、話を聞いた感じではそういうのではなさそうだし、まずは君の要求を聞かせてもらおうかな。」
「あの・・・私も今、妻子がいるときかされて戸惑っています。
出て来るときは、どんなに分が悪くてもこの子を認知してもらうことと養育費をいただきたいと思ってやってきたんですが、社長と副社長という間違いもありますし、正直いうと怖いんです。
その広登さんって人が私のことなんて、もう覚えてないって言ったらどうしようって。
私も失恋の後でかなり酔っていましたし、朝まで彼がビジネスホテルの部屋で介抱してくれて忘れろなんて言われて・・・。
でも、妊娠してしまった私はこれからどうしていいのか。
現実はどうしようもないんです。待ってくれません・・・。ううっ・・・」
「ま、まあ・・・高下さん、とにかくひとりでどんどん悪く考えてしまうのは赤ちゃんにとってよくありません。
こちらの直登さんが弟さんにそこらの話をよく聞いてくださると思いますので、少しだけ私たちに時間をいただけませんか?」
「えっ・・・郁香・・・おい・・・僕に振るのか。
う~~ん、そうだね。弟にとにかく確認するのが1番だから、僕からきいてみましょう。
弟より、僕の方がお若いって言ってもらったことだしね。
ただ、これは覚悟してもらいたいんですけど、赤ちゃんが本当に弟の子であるかどうかの確認だけは病院でさせていただけますね。
検査までの費用などはこちらで持たせていただきますので。」
「はい、よろしくお願いします。
それで、なるべく早く弟さんの返事をいただきたいのですが・・・。」
「もちろんです。明日の午後までに連絡させていただきます。」
高下美代子は不安な顔をしたまま、直登たちにおじぎをしてとりあえず喫茶店を出ていった。
「さてと・・・これは我が家にとっては嵐の到来かもしれないな。
いや、まずは広登だ。
詩織さんに知られずに事の真相を探らないとな。
会社で僕の代わりをしてるから、とにかく社にもどろうか。」
「はい。直登さん・・・お若い方じゃありませんって言われてうれしいですか?」
「正直いうと、手放しでは喜べないかな。
社長としては頼りないって思われてるんだろうし、見た目は広登が社長向きでしょ。
けど、横に郁香がいてくれる分にはうれしいな。
僕は彰登とさほど変わらないからね。
それにしても、君は僕に隠し子がいるかもって冷静な顔をしてしゃべってたね。
怒るとか、嫉妬するみたいな態度はしてくれないの?」
「それは・・・まぁ、違っていたんですからいいじゃないですか。
さあ、早く会社にもどりましょう。」
「おい、郁香!そこ重要なとこだって。」
(郁香はマジで僕が他の女性を妊娠させたと思ってたみたいな発言だったなぁ・・・。
この前だって朝までいっしょに過ごしたけど、お互い忙しくて爆睡してしまって朝がきたし、僕は郁香にとってはお兄ちゃんキャラなのか、完全に信用してもらってないのかなぁ。)
「高下さん、予定より早く来られたんですね。
お待たせしてすみません。」
「いえ、私・・・早く相談にのっていただきたくて・・・。
あの・・・そちらの方はどういった方ですか?」
美代子が直登の姿を見るなり、そう言ったことに対して郁香は驚いた。
「どういった方って・・・この人が花司直登さんですよ。
あなたのお腹の赤ちゃんのお父さんなんじゃ?」
「ち、違いますよ。楢司コーポレーションの社長ですよ。
こんなお若い方じゃありません。もっと落ち着いた感じの・・・」
「ちょ、ちょっと待って。
落ち着いた感じって・・・もしかしてこの男でしょうか?」
直登はタブレットPCを取り出すと兄弟と広登の家族全員で写っている写真を美代子に見せた。
「あっ、この人です。
この人が言ったんです。『今夜のことは早く忘れて元気にこれからを生きていけ』って・・・。」
「行きずりで関係してしまったのか?」
「直登さん!」
「失礼しました。つい驚いてしまって・・・。
こいつは僕の弟で副社長の花司広登といいます。
すぐにあなたへの責任追及をしたいところではありますが・・・こいつにはすでに家庭がある。
妻子がいるんです。
だから・・・結婚ってわけにはいかないと思う。
君との間にとてつもない愛情があれば別だけど、話を聞いた感じではそういうのではなさそうだし、まずは君の要求を聞かせてもらおうかな。」
「あの・・・私も今、妻子がいるときかされて戸惑っています。
出て来るときは、どんなに分が悪くてもこの子を認知してもらうことと養育費をいただきたいと思ってやってきたんですが、社長と副社長という間違いもありますし、正直いうと怖いんです。
その広登さんって人が私のことなんて、もう覚えてないって言ったらどうしようって。
私も失恋の後でかなり酔っていましたし、朝まで彼がビジネスホテルの部屋で介抱してくれて忘れろなんて言われて・・・。
でも、妊娠してしまった私はこれからどうしていいのか。
現実はどうしようもないんです。待ってくれません・・・。ううっ・・・」
「ま、まあ・・・高下さん、とにかくひとりでどんどん悪く考えてしまうのは赤ちゃんにとってよくありません。
こちらの直登さんが弟さんにそこらの話をよく聞いてくださると思いますので、少しだけ私たちに時間をいただけませんか?」
「えっ・・・郁香・・・おい・・・僕に振るのか。
う~~ん、そうだね。弟にとにかく確認するのが1番だから、僕からきいてみましょう。
弟より、僕の方がお若いって言ってもらったことだしね。
ただ、これは覚悟してもらいたいんですけど、赤ちゃんが本当に弟の子であるかどうかの確認だけは病院でさせていただけますね。
検査までの費用などはこちらで持たせていただきますので。」
「はい、よろしくお願いします。
それで、なるべく早く弟さんの返事をいただきたいのですが・・・。」
「もちろんです。明日の午後までに連絡させていただきます。」
高下美代子は不安な顔をしたまま、直登たちにおじぎをしてとりあえず喫茶店を出ていった。
「さてと・・・これは我が家にとっては嵐の到来かもしれないな。
いや、まずは広登だ。
詩織さんに知られずに事の真相を探らないとな。
会社で僕の代わりをしてるから、とにかく社にもどろうか。」
「はい。直登さん・・・お若い方じゃありませんって言われてうれしいですか?」
「正直いうと、手放しでは喜べないかな。
社長としては頼りないって思われてるんだろうし、見た目は広登が社長向きでしょ。
けど、横に郁香がいてくれる分にはうれしいな。
僕は彰登とさほど変わらないからね。
それにしても、君は僕に隠し子がいるかもって冷静な顔をしてしゃべってたね。
怒るとか、嫉妬するみたいな態度はしてくれないの?」
「それは・・・まぁ、違っていたんですからいいじゃないですか。
さあ、早く会社にもどりましょう。」
「おい、郁香!そこ重要なとこだって。」
(郁香はマジで僕が他の女性を妊娠させたと思ってたみたいな発言だったなぁ・・・。
この前だって朝までいっしょに過ごしたけど、お互い忙しくて爆睡してしまって朝がきたし、僕は郁香にとってはお兄ちゃんキャラなのか、完全に信用してもらってないのかなぁ。)