普通に輝くOL
信頼と愛
広登の説明によると、高下美代子は出張先で5年つきあっていた男にフラれて、広登が接待に使ったバーで飲んでいたのを見かけた。
広登は仕事を終えてそのままビジネスホテルへと直行し、接待にいた人間すべてがバーで解散した。
そのとき、高下美代子はカウンターの席で見知らぬ男と楽しそうに会話をして酒を飲んでいたのを見た。
それが夜の9時30分頃のことだった。
深夜1時をまわって、広登の部屋のドアにドン!という物音がして、広登は様子を見てみると、先ほどのバーでカウンターにいた女がドアの前でもたれかかって、ときどきドアをたたきながら声をあげていた。
たぶん近くの部屋に泊まっているのだろうとは思ったが、とりあえずドアをあけて自分の部屋に入れて話を聞こうとすると、女は広登に抱き着いてきて泣き始めた。
動けなくなってしまった広登はフロントへ電話することもできずに、とりあえず女の言い分を床にすわったままきいた。
つきあっていた男にフラれ、バーで意気投合した男とホテルで行きずりの恋を楽しんでしまったという。
ホテルで目が覚めてみると、男がいなくなっていて、お金とメモが置いてあってメモの電話番号に電話をしてみたが電話は使われていなかった。
自分はだまされたのだ・・・つらいを連呼しながら広登の部屋で朝まで女は自分の身の上話をうだうだとしゃべっていた。
夜明けに広登のベッドでぐっすり寝てしまった女のことをフロントへ事情を話して、広登はチェックアウトして帰ってきたというのだった。
彼女が楢司コーポレーション社長と思ったのは、アルバイトで不動産やさんで働いたときに、ネット連絡で広登の映像を見たからということだった。
対外的な大きなパーティーイベントがセットされていて、女性同伴のパーティーだったため直登は広登夫妻に頼んだ後だったので、告知責任者映像が広登になっていた。
「こんなの、あんまりだぁ!
僕は独身で女性アレルギーの直にいのフォローを完璧にこなすためにがんばってきた。
妻の詩織だって長男の妻でもないのに、僕の立場や直にいの対外的な顔をつぶさないようにがんばってくれてきたんだ。
二人三脚で面倒事を次々とこなしてきて、郁香の存在や財産がないことがあっても僕につくしてきてくれた家族なんだ。
なのに・・・女ひとり訪ねてきたために・・・こんな。
なんてもろい家族だったんだって。」
「おい、おまえは高下美代子に言われっぱなしだったのか?
おまえの説明が正しいものなら、反論はできただろ。
話しかしてないじゃないかって怒鳴らなかったのか?」
「それは・・・。やってくるなり涙を流して声をあげてたから・・・。」
「はぁ、広にいの欠点丸出しだなぁ・・・。
嫌味をいうくせに、泣き出した女には甘いんだから。
詩織さんは隠し子云々に腹をたてたんじゃなくて、そういう優柔不断な態度に怒ったんじゃねえのか?」
横から清登が口をはさんだ。
「私もそう思う。清登くんするどいね。」
「おまえらは黙ってろ!
とにかく、高下美代子は子どもが僕の子だといい、そう思い込もうとしている。
あの夜は何もなかったといってもきいてくれない。
これじゃ子どもが生まれてから鑑定してもらうしかなくなってしまうが・・・その間僕はどうすればいいんだ。
家にいれてもらえないし、無罪が確定しても別居した後でどうやっていけばいいんだろうか。」
「一番早く、家庭を築いたくせにわきの甘いやつだなぁ。
しゃあない、僕が詩織さんと話をして、わかってもらおうか。」
「それはだめだろ!直にいがそんなことをしたら、詩織はまた直にいを・・・。」
広登の言葉に郁香はこそっと清登に小声で質問した。
「詩織さんと直登さんって過去に何かあったの?」
「うん、詩織さんは直にいのこと好きだったらしいよ。
でも、直にいはアレルギーで近づけないからね・・・詩織さんかなりへこんでたらしいんだ。」
「ってことはもし直登さんにアレルギー症状が出なかったら、詩織さんは・・・直登さんのお嫁さんになってたってこと?」」
「それはないんじゃないかなぁ。
とくに今はね。」
「あら、どうして?」
「俺にそれをきくの?郁香鈍感すぎ!」
「ほんとに鈍感だな。いや、わざと鈍感なフリをしてるのかもな。
いいか、1回しか言わないからよく聞いてくれよ。
僕は狙った女を追うのが好きで、好きな相手にはいろいろやってあげたいんだよ。
尽くしてくれる女性も素敵だとは思うけど、僕ひとりのためにこれだけ用意してあります。
尽くした分だけ愛してくださいっていわれると引いちゃってね。
家事が得意ではなくて、僕が作った朝ごはんをうまいって感激してくれる女性が大好きです。」
「え・・・あれ・・・朝寝坊でやってもらって・・・それって私。」
「プッ・・・郁香、邸を出ていってから女王様やってたんだ!あはははは。」
「清登くん!!!ひどぉい!こらっ。」
「うるさいっ!そんなラブラブしてたんなら、おまえら2人で詩織に説明してくれっ!」
「はい・・・すみませんでした。」
広登は仕事を終えてそのままビジネスホテルへと直行し、接待にいた人間すべてがバーで解散した。
そのとき、高下美代子はカウンターの席で見知らぬ男と楽しそうに会話をして酒を飲んでいたのを見た。
それが夜の9時30分頃のことだった。
深夜1時をまわって、広登の部屋のドアにドン!という物音がして、広登は様子を見てみると、先ほどのバーでカウンターにいた女がドアの前でもたれかかって、ときどきドアをたたきながら声をあげていた。
たぶん近くの部屋に泊まっているのだろうとは思ったが、とりあえずドアをあけて自分の部屋に入れて話を聞こうとすると、女は広登に抱き着いてきて泣き始めた。
動けなくなってしまった広登はフロントへ電話することもできずに、とりあえず女の言い分を床にすわったままきいた。
つきあっていた男にフラれ、バーで意気投合した男とホテルで行きずりの恋を楽しんでしまったという。
ホテルで目が覚めてみると、男がいなくなっていて、お金とメモが置いてあってメモの電話番号に電話をしてみたが電話は使われていなかった。
自分はだまされたのだ・・・つらいを連呼しながら広登の部屋で朝まで女は自分の身の上話をうだうだとしゃべっていた。
夜明けに広登のベッドでぐっすり寝てしまった女のことをフロントへ事情を話して、広登はチェックアウトして帰ってきたというのだった。
彼女が楢司コーポレーション社長と思ったのは、アルバイトで不動産やさんで働いたときに、ネット連絡で広登の映像を見たからということだった。
対外的な大きなパーティーイベントがセットされていて、女性同伴のパーティーだったため直登は広登夫妻に頼んだ後だったので、告知責任者映像が広登になっていた。
「こんなの、あんまりだぁ!
僕は独身で女性アレルギーの直にいのフォローを完璧にこなすためにがんばってきた。
妻の詩織だって長男の妻でもないのに、僕の立場や直にいの対外的な顔をつぶさないようにがんばってくれてきたんだ。
二人三脚で面倒事を次々とこなしてきて、郁香の存在や財産がないことがあっても僕につくしてきてくれた家族なんだ。
なのに・・・女ひとり訪ねてきたために・・・こんな。
なんてもろい家族だったんだって。」
「おい、おまえは高下美代子に言われっぱなしだったのか?
おまえの説明が正しいものなら、反論はできただろ。
話しかしてないじゃないかって怒鳴らなかったのか?」
「それは・・・。やってくるなり涙を流して声をあげてたから・・・。」
「はぁ、広にいの欠点丸出しだなぁ・・・。
嫌味をいうくせに、泣き出した女には甘いんだから。
詩織さんは隠し子云々に腹をたてたんじゃなくて、そういう優柔不断な態度に怒ったんじゃねえのか?」
横から清登が口をはさんだ。
「私もそう思う。清登くんするどいね。」
「おまえらは黙ってろ!
とにかく、高下美代子は子どもが僕の子だといい、そう思い込もうとしている。
あの夜は何もなかったといってもきいてくれない。
これじゃ子どもが生まれてから鑑定してもらうしかなくなってしまうが・・・その間僕はどうすればいいんだ。
家にいれてもらえないし、無罪が確定しても別居した後でどうやっていけばいいんだろうか。」
「一番早く、家庭を築いたくせにわきの甘いやつだなぁ。
しゃあない、僕が詩織さんと話をして、わかってもらおうか。」
「それはだめだろ!直にいがそんなことをしたら、詩織はまた直にいを・・・。」
広登の言葉に郁香はこそっと清登に小声で質問した。
「詩織さんと直登さんって過去に何かあったの?」
「うん、詩織さんは直にいのこと好きだったらしいよ。
でも、直にいはアレルギーで近づけないからね・・・詩織さんかなりへこんでたらしいんだ。」
「ってことはもし直登さんにアレルギー症状が出なかったら、詩織さんは・・・直登さんのお嫁さんになってたってこと?」」
「それはないんじゃないかなぁ。
とくに今はね。」
「あら、どうして?」
「俺にそれをきくの?郁香鈍感すぎ!」
「ほんとに鈍感だな。いや、わざと鈍感なフリをしてるのかもな。
いいか、1回しか言わないからよく聞いてくれよ。
僕は狙った女を追うのが好きで、好きな相手にはいろいろやってあげたいんだよ。
尽くしてくれる女性も素敵だとは思うけど、僕ひとりのためにこれだけ用意してあります。
尽くした分だけ愛してくださいっていわれると引いちゃってね。
家事が得意ではなくて、僕が作った朝ごはんをうまいって感激してくれる女性が大好きです。」
「え・・・あれ・・・朝寝坊でやってもらって・・・それって私。」
「プッ・・・郁香、邸を出ていってから女王様やってたんだ!あはははは。」
「清登くん!!!ひどぉい!こらっ。」
「うるさいっ!そんなラブラブしてたんなら、おまえら2人で詩織に説明してくれっ!」
「はい・・・すみませんでした。」