普通に輝くOL
美代子の様子がおかしいと思った郁香と直登は高下美代子に事情をきいてみた。
美代子は大声をあげて泣き出してしまったが、しばらくしてぽつりぽつりと事情を説明し始めた。
お腹の子が広登の子どもではないこと。
広登がにらんでいた、飲み屋で意気投合した男と関係をもったと白状した。
しかし、子どもの父親の男はその場の情事を楽しんだだけの男だった。
それだけでも美代子にとってはショックだった。
その時は妊娠など夢にも思わなかったが、捨てられたというショックから酔っぱらってホテルの廊下で疲れ果てて寝てしまったのだった。
そこへ広登が優しく介抱してくれたことに美代子は感謝と憧れの感情を持ってしまった。
その後、妊娠がわかってしまった彼女は、自分を捨てた男を子どもの父親だとは認められなくなってしまい、思い出の中の広登を子どもの父親だと信じ込もうと自分に言い聞かせた。
「広登さんを好きになってしまったの。
捨てられて、転がってた私にもとても優しくしてくださったんだもん。
だけど、まさか結婚してたなんて知らなくて。
奥様には本当に申し訳ないと思っています。」
「最近、男に会っていたという情報があるけど、どうなんだい?」
「お腹の子の父親の兄にあたる人・・・。つまりこの子の伯父さんって人が私の子が弟の子かもしれないって見に来てくれたの。
検査の結果はやっぱり私を捨てた男が父親。
それを伝えたわ。
父親の彼はつい3か月前に交通事故で亡くなったってお兄さんが教えてくれました。」
「では、子どもはどうする?
養育は伯父に当たるその人がみていってくれるのか?」
「はい。みてくれるそうです。
兄夫婦には子どもがいないので、私が住む家をご近所に用意してくれて、そこから子どもを兄夫婦の所といったりきたりしてほしいといわれました。
出産前の準備もすべてやってくれるそうですし・・・私はここを出ていこうと思います。」
高下美代子は結局、広登には謝罪の手紙を残し、花司邸を出ていった。
手紙には感謝と謝罪の言葉が並べられ、家族みんなでお幸せに。というメッセージが最後に書かれていた。
詩織も広登の潔白が信じられて、広登のわきが甘い部分を説教しただけに留まったのだった。
「なんかかわいそうだったね。あの人・・・」
「一夜の過ちで生活がすっかりかわってしまったからな。
けど、とりあえずは子どもを安心して産める環境は手に入れられたのだけは救いさ。
兄さん夫婦は常識ある人たちだったし、弟の罪滅ぼしでも彼女をささえてあげられれば、そのうち彼女にもいいことがやってくるだろう。
あ、ちなみにさ・・・僕と郁香の間に子どもができてしまったら、僕はいい父親になる努力を惜しみませんから安心してくれていいから。」
「なっ!そ、そんなことにはなりませんから。いーーーーーだ!」
「ああ、郁香はまたそんなかわいいことをして、僕の気をひこうとするんだから。」
「・・・・・・アホだ・・・。ほうっておこう。」
郁香は安易に直登との結婚ごっこ程度にこのときは考えていたが、それからしばらくして、郁香にとって直登はかけがえのない存在となった。
「は・・・ぁ。怖かった・・・。」
「郁香、もう大丈夫だから。もう、あいつは迫ってこない。
もう、泣くな。大丈夫だ、僕がそばにいるから。」
香西は郁香と仕事をするたびに執拗にせまり、しまいにはトイレまで押しかける勢いだった。
寮の管理計画書を郁香が学校の事務所へと届けたとき、事務所に居合わせた香西はとうとう郁香を押さえつけキスを迫った。
逃げる過程で床に倒れこんだ郁香に香西は上からのしかかってきて、もうキス目的をとっくに超えてしまっていた。
郁香が服を脱がされようとしたとき、後から来た直登が香西に後ろからとびかかるようにしてひきはがし、耳元でささやいた。
「いけないなぁ・・・僕の妻に手を出すなんて。
今夜の僕たちの営みに大きな支障が出るじゃないですか。
僕もここの仕事をふいにはしたくないんですよねぇ。
それに香西さんは夫のいる女性は狙わない紳士だと噂できいたことがあるんですけどねぇ。」
「君の妻って・・・指輪もしてなかったじゃないか。」
「彼女もアレルギーが少しありましてね。
ずっと指輪をしていられないんです。かゆくなってしまうんでね。
でも、れっきとした僕の奥さんですよ。
ちゃんと2人で住んでますし、うちの兄弟に問い合わせてくださっても、僕に郁香をさらわれたってかなり怒ってますからねぇ。」
「最近、ご結婚されたんですか?」
「いえこの寮のお話をいただく前から婚約はしていましたが、あなたのような積極的な男性に感化されて思いきることができたんです。」
「そ、そうですか・・・それでご結婚を。
私などいいなと思う女性はそこそこいるのですが、結婚を思いきることはできないんですよ。」
「そうみたいですね。あなたは短くてあっさりした付き合いが好きだと誰かからきいたことがある。
郁香はそういう付き合いがぜんぜんできない女でね。
僕と結婚するのにも、休日はなるだけいっしょにいてほしいとか、仕事と公私混同はダメとかかなりきびしいんですよ。
だけど、そういう彼女の思いをすべて受け入れてしまおうと思う僕はほんとに妻に甘いなぁってね・・・あははは、すみません。のろけにきこえますね。」
「いえいえ、新婚さんなのですから・・・それは。」
美代子は大声をあげて泣き出してしまったが、しばらくしてぽつりぽつりと事情を説明し始めた。
お腹の子が広登の子どもではないこと。
広登がにらんでいた、飲み屋で意気投合した男と関係をもったと白状した。
しかし、子どもの父親の男はその場の情事を楽しんだだけの男だった。
それだけでも美代子にとってはショックだった。
その時は妊娠など夢にも思わなかったが、捨てられたというショックから酔っぱらってホテルの廊下で疲れ果てて寝てしまったのだった。
そこへ広登が優しく介抱してくれたことに美代子は感謝と憧れの感情を持ってしまった。
その後、妊娠がわかってしまった彼女は、自分を捨てた男を子どもの父親だとは認められなくなってしまい、思い出の中の広登を子どもの父親だと信じ込もうと自分に言い聞かせた。
「広登さんを好きになってしまったの。
捨てられて、転がってた私にもとても優しくしてくださったんだもん。
だけど、まさか結婚してたなんて知らなくて。
奥様には本当に申し訳ないと思っています。」
「最近、男に会っていたという情報があるけど、どうなんだい?」
「お腹の子の父親の兄にあたる人・・・。つまりこの子の伯父さんって人が私の子が弟の子かもしれないって見に来てくれたの。
検査の結果はやっぱり私を捨てた男が父親。
それを伝えたわ。
父親の彼はつい3か月前に交通事故で亡くなったってお兄さんが教えてくれました。」
「では、子どもはどうする?
養育は伯父に当たるその人がみていってくれるのか?」
「はい。みてくれるそうです。
兄夫婦には子どもがいないので、私が住む家をご近所に用意してくれて、そこから子どもを兄夫婦の所といったりきたりしてほしいといわれました。
出産前の準備もすべてやってくれるそうですし・・・私はここを出ていこうと思います。」
高下美代子は結局、広登には謝罪の手紙を残し、花司邸を出ていった。
手紙には感謝と謝罪の言葉が並べられ、家族みんなでお幸せに。というメッセージが最後に書かれていた。
詩織も広登の潔白が信じられて、広登のわきが甘い部分を説教しただけに留まったのだった。
「なんかかわいそうだったね。あの人・・・」
「一夜の過ちで生活がすっかりかわってしまったからな。
けど、とりあえずは子どもを安心して産める環境は手に入れられたのだけは救いさ。
兄さん夫婦は常識ある人たちだったし、弟の罪滅ぼしでも彼女をささえてあげられれば、そのうち彼女にもいいことがやってくるだろう。
あ、ちなみにさ・・・僕と郁香の間に子どもができてしまったら、僕はいい父親になる努力を惜しみませんから安心してくれていいから。」
「なっ!そ、そんなことにはなりませんから。いーーーーーだ!」
「ああ、郁香はまたそんなかわいいことをして、僕の気をひこうとするんだから。」
「・・・・・・アホだ・・・。ほうっておこう。」
郁香は安易に直登との結婚ごっこ程度にこのときは考えていたが、それからしばらくして、郁香にとって直登はかけがえのない存在となった。
「は・・・ぁ。怖かった・・・。」
「郁香、もう大丈夫だから。もう、あいつは迫ってこない。
もう、泣くな。大丈夫だ、僕がそばにいるから。」
香西は郁香と仕事をするたびに執拗にせまり、しまいにはトイレまで押しかける勢いだった。
寮の管理計画書を郁香が学校の事務所へと届けたとき、事務所に居合わせた香西はとうとう郁香を押さえつけキスを迫った。
逃げる過程で床に倒れこんだ郁香に香西は上からのしかかってきて、もうキス目的をとっくに超えてしまっていた。
郁香が服を脱がされようとしたとき、後から来た直登が香西に後ろからとびかかるようにしてひきはがし、耳元でささやいた。
「いけないなぁ・・・僕の妻に手を出すなんて。
今夜の僕たちの営みに大きな支障が出るじゃないですか。
僕もここの仕事をふいにはしたくないんですよねぇ。
それに香西さんは夫のいる女性は狙わない紳士だと噂できいたことがあるんですけどねぇ。」
「君の妻って・・・指輪もしてなかったじゃないか。」
「彼女もアレルギーが少しありましてね。
ずっと指輪をしていられないんです。かゆくなってしまうんでね。
でも、れっきとした僕の奥さんですよ。
ちゃんと2人で住んでますし、うちの兄弟に問い合わせてくださっても、僕に郁香をさらわれたってかなり怒ってますからねぇ。」
「最近、ご結婚されたんですか?」
「いえこの寮のお話をいただく前から婚約はしていましたが、あなたのような積極的な男性に感化されて思いきることができたんです。」
「そ、そうですか・・・それでご結婚を。
私などいいなと思う女性はそこそこいるのですが、結婚を思いきることはできないんですよ。」
「そうみたいですね。あなたは短くてあっさりした付き合いが好きだと誰かからきいたことがある。
郁香はそういう付き合いがぜんぜんできない女でね。
僕と結婚するのにも、休日はなるだけいっしょにいてほしいとか、仕事と公私混同はダメとかかなりきびしいんですよ。
だけど、そういう彼女の思いをすべて受け入れてしまおうと思う僕はほんとに妻に甘いなぁってね・・・あははは、すみません。のろけにきこえますね。」
「いえいえ、新婚さんなのですから・・・それは。」