普通に輝くOL
直登は唖然としながらも、郁香に頭を下げた。
「それで郁香がいいのなら、そうしてほしい。
けど、約束してほしいことがある。」
「何?」
「君が他の男性を気に入ったら、すぐに僕にさよならを言うんだ。」
「どうして今そんなこと・・・言うの?」
「僕は結婚する気がないからだ。
アレルギーが出ない女性を見つけたとしても、君からのさよならをきいていない間はその女性を愛することはない。
いや、たぶんできない。」
「そんなの・・・悲しすぎるよ。」
「大丈夫、僕は男だからさ。
でも郁香は女で自分の子を産みたいときに産めなければ絶対後悔すると思うんだ。
だからね・・・いい子を産んでほしい。」
「私は他の男性とそんなことにならないわ。
直登さんが治るまで待ってる。」
「だめだ!それはやめてくれ。
そりゃ、僕が元通りになったら話は別だけど、症状がなくならなかったら申し訳なくて・・・。」
「ま、まあまあ・・・まだ症状がどうなるかわかんないし、直にいも病院へ行くだろう?
ここで即決しなくてもいいじゃない。
最低でも1年猶予くらいのつきあいはしたってバチは当たらないよ。2人とも・・・なっ。」
優登の言葉にみんなが頷いた。
「じゃ、みんな集まっての食事だから楽しんで食おうぜ。
同じ飯食ったからってアレルギー症状は出ないだろ。」
「そうだよ、肌は触れなきゃいいんだから、箸で触れ合うのは全員アリだ!」
「おまえの箸が触れたらみんなの食い分が減るんだよ。コラ!」
「そんな俺、大飯ぐらいなのかよーーーー!」
清登たち兄弟のおかげもあって、郁香は直登の事情も比較的おだやかに受け止めることができた。
これが本当の家族になれた食卓の風景だったらどんなにうれしいことなんだろう・・・と郁香はみんなの顔を眺めていた。
どこかさびしいままの気持ちがぬぐいきれずに、2週間ほど過ぎた時、郁香にとって驚きと静寂が襲ってきた。
社長就任以来、直登を悩ませてきた女性アレルギーがパッとおさまったというのだ。
定期的な診療は受けていたとはいえ、今になって治ってしまったとは不思議だと皆が驚き、社内外の女性社員や女性関係者は何かと理由をつけては直登のところへやってくるようになった。
直登は久しぶりの笑顔で郁香のそばにもかけよったが、直登と郁香は2人して涙を浮かべて見つめ合うだけだった。
「なぜだ?やっとこのアレルギーから脱出できたと思ったのに、どうして郁香だけがだめなんだ!」
「あははは・・・逆転しちゃったね。
しょうがないよ。直登さんが自分でコントロールできることじゃないんだもの。
おめでとう。これからはいろんな女性とつきあえるね。
そうだ・・・この家全部買い上げてくれる?
私がいたら、彼女も呼べないでしょ。」
「待てって。確かにアレルギー症状はなくなったけど、僕の心は以前と変わりない。
君を追い出したら、君はどこへ行くつもりだ?
もし、家出するつもりで出ていっても、僕は追いかけて同居してやるからな!」
「そんな自由はもうないでしょ?
追いかけられてるのは直登さんじゃない。
ここに逃げ帰ってきて、追手に私が対応するのはもう嫌です。」
「ごめん・・・最近はさ、弟たちのとこへ行っても誰かがあがりこんでるんだ。」
「えっ?じゃ、清登クンたちも困ってるの?」
「ああ、ひどいのになると、僕を追ってきたフリをして彰登や優登の寝室にまであがりこんでいる女までいる。
警察を呼ぶ動作をしたらいったんは戻っていくが、翌日にはまたやってくるの繰り返しだ。
神様はよくわかってたんじゃないかなぁ・・・。
こういうことになるから、僕をアレルギーにしてしまったんじゃないかってね。」
「ねえ、乾杯しようよ。」
「はぁ?何にだ?」
「お互いのグラスは触れることができるお祝い!」
「なんだそりゃ。・・・けど、悪くないな。
乾杯しよう。
やっぱり、この家に戻って来れるのが幸せだな。」
「いつまでそういってられるかは知らないけどね。」
「それは考えない!」
「うん・・・。」
お互い触れなくても家では仲良くやっていけるかに思えたが、現実は2人の周りには邪魔になる存在がたくさん立ちはだかっていた。
ずっと訪問して仕事を続ける堂原学院の香西が郁香に猛アタックをかけてきた。
「聞きましたよ。花司社長はあなただけにアレルギーが出るってね。
ってことは、まともな結婚生活なんて続けられないんでしょう。
花司社長の方も連日週刊誌に書かれるほど、いろんな女性と同じホテルから出る写真が撮られているらしいじゃないですか。」
「出張のときばかりです。それは、女性が勝手に忍び込んでくるんだと思いますわ。」
「はたしてそうでしょうか?
いくら好きな女性を胸に秘めていても、その女性に指一本触れることもできず、逆にいろんな美女がよってきたら男の理性などもろく砕けてしまう。
そのうち、そのやむおえない行動から、女性から妊娠という事実を突きつけられたら知らないではすみませんよねぇ。」
「余計なご心配はいりません。
たとえ、そんなことになってしまったとしても、私は直登さんが幸せならそれでかまいません。
そんな話をしたからといって、私があなたになびくなんてことこそありませんので、あしからず!」
「それで郁香がいいのなら、そうしてほしい。
けど、約束してほしいことがある。」
「何?」
「君が他の男性を気に入ったら、すぐに僕にさよならを言うんだ。」
「どうして今そんなこと・・・言うの?」
「僕は結婚する気がないからだ。
アレルギーが出ない女性を見つけたとしても、君からのさよならをきいていない間はその女性を愛することはない。
いや、たぶんできない。」
「そんなの・・・悲しすぎるよ。」
「大丈夫、僕は男だからさ。
でも郁香は女で自分の子を産みたいときに産めなければ絶対後悔すると思うんだ。
だからね・・・いい子を産んでほしい。」
「私は他の男性とそんなことにならないわ。
直登さんが治るまで待ってる。」
「だめだ!それはやめてくれ。
そりゃ、僕が元通りになったら話は別だけど、症状がなくならなかったら申し訳なくて・・・。」
「ま、まあまあ・・・まだ症状がどうなるかわかんないし、直にいも病院へ行くだろう?
ここで即決しなくてもいいじゃない。
最低でも1年猶予くらいのつきあいはしたってバチは当たらないよ。2人とも・・・なっ。」
優登の言葉にみんなが頷いた。
「じゃ、みんな集まっての食事だから楽しんで食おうぜ。
同じ飯食ったからってアレルギー症状は出ないだろ。」
「そうだよ、肌は触れなきゃいいんだから、箸で触れ合うのは全員アリだ!」
「おまえの箸が触れたらみんなの食い分が減るんだよ。コラ!」
「そんな俺、大飯ぐらいなのかよーーーー!」
清登たち兄弟のおかげもあって、郁香は直登の事情も比較的おだやかに受け止めることができた。
これが本当の家族になれた食卓の風景だったらどんなにうれしいことなんだろう・・・と郁香はみんなの顔を眺めていた。
どこかさびしいままの気持ちがぬぐいきれずに、2週間ほど過ぎた時、郁香にとって驚きと静寂が襲ってきた。
社長就任以来、直登を悩ませてきた女性アレルギーがパッとおさまったというのだ。
定期的な診療は受けていたとはいえ、今になって治ってしまったとは不思議だと皆が驚き、社内外の女性社員や女性関係者は何かと理由をつけては直登のところへやってくるようになった。
直登は久しぶりの笑顔で郁香のそばにもかけよったが、直登と郁香は2人して涙を浮かべて見つめ合うだけだった。
「なぜだ?やっとこのアレルギーから脱出できたと思ったのに、どうして郁香だけがだめなんだ!」
「あははは・・・逆転しちゃったね。
しょうがないよ。直登さんが自分でコントロールできることじゃないんだもの。
おめでとう。これからはいろんな女性とつきあえるね。
そうだ・・・この家全部買い上げてくれる?
私がいたら、彼女も呼べないでしょ。」
「待てって。確かにアレルギー症状はなくなったけど、僕の心は以前と変わりない。
君を追い出したら、君はどこへ行くつもりだ?
もし、家出するつもりで出ていっても、僕は追いかけて同居してやるからな!」
「そんな自由はもうないでしょ?
追いかけられてるのは直登さんじゃない。
ここに逃げ帰ってきて、追手に私が対応するのはもう嫌です。」
「ごめん・・・最近はさ、弟たちのとこへ行っても誰かがあがりこんでるんだ。」
「えっ?じゃ、清登クンたちも困ってるの?」
「ああ、ひどいのになると、僕を追ってきたフリをして彰登や優登の寝室にまであがりこんでいる女までいる。
警察を呼ぶ動作をしたらいったんは戻っていくが、翌日にはまたやってくるの繰り返しだ。
神様はよくわかってたんじゃないかなぁ・・・。
こういうことになるから、僕をアレルギーにしてしまったんじゃないかってね。」
「ねえ、乾杯しようよ。」
「はぁ?何にだ?」
「お互いのグラスは触れることができるお祝い!」
「なんだそりゃ。・・・けど、悪くないな。
乾杯しよう。
やっぱり、この家に戻って来れるのが幸せだな。」
「いつまでそういってられるかは知らないけどね。」
「それは考えない!」
「うん・・・。」
お互い触れなくても家では仲良くやっていけるかに思えたが、現実は2人の周りには邪魔になる存在がたくさん立ちはだかっていた。
ずっと訪問して仕事を続ける堂原学院の香西が郁香に猛アタックをかけてきた。
「聞きましたよ。花司社長はあなただけにアレルギーが出るってね。
ってことは、まともな結婚生活なんて続けられないんでしょう。
花司社長の方も連日週刊誌に書かれるほど、いろんな女性と同じホテルから出る写真が撮られているらしいじゃないですか。」
「出張のときばかりです。それは、女性が勝手に忍び込んでくるんだと思いますわ。」
「はたしてそうでしょうか?
いくら好きな女性を胸に秘めていても、その女性に指一本触れることもできず、逆にいろんな美女がよってきたら男の理性などもろく砕けてしまう。
そのうち、そのやむおえない行動から、女性から妊娠という事実を突きつけられたら知らないではすみませんよねぇ。」
「余計なご心配はいりません。
たとえ、そんなことになってしまったとしても、私は直登さんが幸せならそれでかまいません。
そんな話をしたからといって、私があなたになびくなんてことこそありませんので、あしからず!」