普通に輝くOL
2人だけの世界
婚姻届を出して晴れて2人は夫婦となったが、直登のアレルギー症状がおさまる気配はなく、お見合いの結果の反動が起こりだした。
お見合いの話を持ちかけた取引先の社長や重役が、今後の取引をやめたいと言いだしたのだ。
「直にい、とうとう嫌でもリストラになってしまいますね。」
「広登・・・すまない。
こんな形でまたおまえたちに苦労をかけてしまって。」
「どんまいだって。
兄さんは今まで仕事に逃げなんて一切しなかったし、嫌な部分もすべて正面からぶつかってたのは僕はわかってるからね。
僕はときどき兄さんが逃げたくなる顔をしたときに意地悪い言葉を吐いて、兄さんを逃げられないようにした悪い弟だ。
しかも、自分だけさっさと家庭をもって安定のある人生をのぞんだりしてさ。
だけど、そろそろもうそういうのは終わりにしないと。
あまりに兄さんがかわいそう過ぎるからね。」
「おまえだって社内外から煙たがられる役回りを引き受けてくれてたじゃないか。
だから、僕は偉そうな顔していられたんだが・・・今度だけはどうしても逃げはしないが、我を通したいと思った。すまない・・・。」
「まだ、言うのか。
兄さんの優しさは本来、あるがままの用途で使われなくてはいけない。
それが今だっただけだよ。
次は僕たち弟軍団で切り抜けてみせるから、安心してくれ。」
「しかし、大手がみんな抜けてしまったら、半分以下まで人件費を減らさなければ倒産の危機だぞ。
彰登のところや引き受けてもらえる会社に協力を要請したとしても、まだ足りないし、楢妃も孝彦の事件以降立て直し中だろ。
まさかのダブルパンチ状態で、受け入れ先はほとんどない・・・。」
「受け入れは少ないです。だから、大手の取引先に手を引かせないように碓井がもう出かけていってます。」
「何っ!だが・・・碓井だけじゃ・・・僕が土下座してこなきゃ!」
「だめだ。それは今の段階では逆効果さ。
娘かわいさな父親や親せきからすれば、兄さんの顔はみたくはないと思うから、ここは碓井にまかせた方がいい。」
「だが、会社を代表しての話だろ!秘書だけがいって何ができるんだ?」
「もちろん、碓井だけじゃないよ。
会社を代表して花司優登が出向いてる。
そうそう、いちばん若かった娘の家には花司清登が行ってる。」
「おい!あいつらにそんなの任せて大丈夫なのか?
だいたい、清登はまだ入社してないじゃないか。」
「してないけど、いずれ入るだろ。
家の問題なんだから、家の人間が行くのが筋だ。」
「大丈夫なのかぁ~~~~はぁ。優登はともかく、清登はビジネスなんてぜんぜんわかってないだろ。」
「そこが新鮮なんですよ。碓井の狙いとしては清登がダークホースらしいです。」
「なっ!!?何を考えてるんだよ。おまえらは・・・。」
しばらくして、碓井から広登の携帯に連絡がきた。
「ああ、どうだった?
そうか。やったな・・・それはよかった。
清登に報酬を渡してやってくれ。じゃ、お疲れ。」
「なんだ、清登に報酬って?」
「いちばん大手の中川建物の専務の娘・・・」
「ああ。まだ学生だった娘か。」
「清登と交際したいと言ったそうですよ。
だから、取引は今まで通り・・・。」
「なっ!!広登・・・おまえ、それって、弟たちをエサにしたのか?」
「我が家の一大事と長兄の幸せがかかってるんです。
今まで、好きなことができたのは誰のおかげかと考えてもらっただけだって。
それに、中川の専務の娘は兄さんには若すぎるでしょ。
そんな少女をおっさんに押し付けてきた父親を娘はどう思ってるんでしょうね。
年相応の男と付き合う方が彼女からすれば、現実味があるんじゃないですか。」
「だがなぁ・・・思惑は社長の妻に・・・だろう?」
「だから、直にいには社長をやめてもらいます!」
「ぬぁにぃーーーーー!ちょ、ちょっと待てよ。広登、じゃ、おまえは社長を狙って・・・?」
「私が社長になるなんて言ってませんよ。
私は副社長でも、専務でもかまいません。
もともと、サポート役が得意ですしね。
社長は優登や清登がやったらいいんです。」
「で・・・僕は?まさかクビっていうんじゃ?」
「クビです!当社の代表取締役は退任してもらいます。
そして、楢司の会長と新規で別会社にする楢司サービスの副代表をしていただきます。」
「楢司サービスだと?で、副代表ってことは代表は誰だよ?」
「郁香さんです。サービスでは保養施設管理や学生寮のデザインなど育成が必要な分野。
若い力を育て、その力の源を整えてあげる仕事を主にやっていただきます。
これはもう、代表には了解してもらってますので、お帰りになってから奥様によく説明してもらってください。」
「お、おいおい・・・広登。しゃべり方までおまえ・・・やりすぎじゃないのか?」
「嫌なら兄さんのクビだけを執行することにしますよ。
これはもう取締役会で決定していますから。」
お見合いの話を持ちかけた取引先の社長や重役が、今後の取引をやめたいと言いだしたのだ。
「直にい、とうとう嫌でもリストラになってしまいますね。」
「広登・・・すまない。
こんな形でまたおまえたちに苦労をかけてしまって。」
「どんまいだって。
兄さんは今まで仕事に逃げなんて一切しなかったし、嫌な部分もすべて正面からぶつかってたのは僕はわかってるからね。
僕はときどき兄さんが逃げたくなる顔をしたときに意地悪い言葉を吐いて、兄さんを逃げられないようにした悪い弟だ。
しかも、自分だけさっさと家庭をもって安定のある人生をのぞんだりしてさ。
だけど、そろそろもうそういうのは終わりにしないと。
あまりに兄さんがかわいそう過ぎるからね。」
「おまえだって社内外から煙たがられる役回りを引き受けてくれてたじゃないか。
だから、僕は偉そうな顔していられたんだが・・・今度だけはどうしても逃げはしないが、我を通したいと思った。すまない・・・。」
「まだ、言うのか。
兄さんの優しさは本来、あるがままの用途で使われなくてはいけない。
それが今だっただけだよ。
次は僕たち弟軍団で切り抜けてみせるから、安心してくれ。」
「しかし、大手がみんな抜けてしまったら、半分以下まで人件費を減らさなければ倒産の危機だぞ。
彰登のところや引き受けてもらえる会社に協力を要請したとしても、まだ足りないし、楢妃も孝彦の事件以降立て直し中だろ。
まさかのダブルパンチ状態で、受け入れ先はほとんどない・・・。」
「受け入れは少ないです。だから、大手の取引先に手を引かせないように碓井がもう出かけていってます。」
「何っ!だが・・・碓井だけじゃ・・・僕が土下座してこなきゃ!」
「だめだ。それは今の段階では逆効果さ。
娘かわいさな父親や親せきからすれば、兄さんの顔はみたくはないと思うから、ここは碓井にまかせた方がいい。」
「だが、会社を代表しての話だろ!秘書だけがいって何ができるんだ?」
「もちろん、碓井だけじゃないよ。
会社を代表して花司優登が出向いてる。
そうそう、いちばん若かった娘の家には花司清登が行ってる。」
「おい!あいつらにそんなの任せて大丈夫なのか?
だいたい、清登はまだ入社してないじゃないか。」
「してないけど、いずれ入るだろ。
家の問題なんだから、家の人間が行くのが筋だ。」
「大丈夫なのかぁ~~~~はぁ。優登はともかく、清登はビジネスなんてぜんぜんわかってないだろ。」
「そこが新鮮なんですよ。碓井の狙いとしては清登がダークホースらしいです。」
「なっ!!?何を考えてるんだよ。おまえらは・・・。」
しばらくして、碓井から広登の携帯に連絡がきた。
「ああ、どうだった?
そうか。やったな・・・それはよかった。
清登に報酬を渡してやってくれ。じゃ、お疲れ。」
「なんだ、清登に報酬って?」
「いちばん大手の中川建物の専務の娘・・・」
「ああ。まだ学生だった娘か。」
「清登と交際したいと言ったそうですよ。
だから、取引は今まで通り・・・。」
「なっ!!広登・・・おまえ、それって、弟たちをエサにしたのか?」
「我が家の一大事と長兄の幸せがかかってるんです。
今まで、好きなことができたのは誰のおかげかと考えてもらっただけだって。
それに、中川の専務の娘は兄さんには若すぎるでしょ。
そんな少女をおっさんに押し付けてきた父親を娘はどう思ってるんでしょうね。
年相応の男と付き合う方が彼女からすれば、現実味があるんじゃないですか。」
「だがなぁ・・・思惑は社長の妻に・・・だろう?」
「だから、直にいには社長をやめてもらいます!」
「ぬぁにぃーーーーー!ちょ、ちょっと待てよ。広登、じゃ、おまえは社長を狙って・・・?」
「私が社長になるなんて言ってませんよ。
私は副社長でも、専務でもかまいません。
もともと、サポート役が得意ですしね。
社長は優登や清登がやったらいいんです。」
「で・・・僕は?まさかクビっていうんじゃ?」
「クビです!当社の代表取締役は退任してもらいます。
そして、楢司の会長と新規で別会社にする楢司サービスの副代表をしていただきます。」
「楢司サービスだと?で、副代表ってことは代表は誰だよ?」
「郁香さんです。サービスでは保養施設管理や学生寮のデザインなど育成が必要な分野。
若い力を育て、その力の源を整えてあげる仕事を主にやっていただきます。
これはもう、代表には了解してもらってますので、お帰りになってから奥様によく説明してもらってください。」
「お、おいおい・・・広登。しゃべり方までおまえ・・・やりすぎじゃないのか?」
「嫌なら兄さんのクビだけを執行することにしますよ。
これはもう取締役会で決定していますから。」