ゆびきり
梨由は帽子をかぶり、眼鏡をかけていた。そして、可愛らしい女の子をつれていた。



あのときにお腹にいた子だ。



「偶然!日和が受付嬢だなんて」



「梨由こそ、お仕事大変なんでしょ?」


「今日だけオフなんだ!」



嬉しそうにそういう梨由は、なんだかおかあさんって感じではなかった。



まだ自分も子供のようだった。



「その娘、梨由の?」

「そう。あの日、お腹にいた子よ。可菜です」



子供を紹介するときは、さっきとは違う、お母さんな顔になっていた。


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