ゆびきり
ある日、龍二が女といるところを目撃した。



「なんてゆうのかな?心の中で何かが、壊れるような、崩れて穴があくような無力感が私を包んだの。ああ、恋って苦しいものだって初めて知った」



その日、独り詩を書き込む梨由は、恋愛の本当の理由を考えていた。


取っ替え取っ替えな恋愛や笑い話じゃない、本当の恋の存在を知った日。



そして、書いた詩をいつもとは違う、真剣な眼差しで龍二に渡した。



「これ、龍二が女と歩いてるとこみたら、なんか、苦しくなっちゃった。こんなの初めて…私…あんたのこと…好きみたい…」



泣きながらそういった梨由に、龍二は詩を読みおわると、梨由の頭に手をおいた。



「成長してるじゃん。明日から、俺のスペース半分かしてやるよ」


「えっ…?」



龍二が梨由を認めた。



「女を見下すことしかできない龍二が、初めて認めた女だって、それだけは譲れない」



こうして、梨由はポエムへ招待され、みんなとの出会いを果たしたのだ。
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