ゆびきり
今まで自己紹介は何度もしてきたけど、お天気日和なんていわれたのは二人しかいなかった。


詩人の人はみんなそう言うのだろうか?


「よし!かけた!五百円になります」


私は詩をうけとり、五百円を渡した。


彼の詩は、梨由とはやっぱりちがって、小さな色紙に書いてくれていた。


中はみえないように、ちゃんと封筒にいれてくれていた。


「ありがとう。あなたの名前は?」

「詠士だよ。またきてねー日和ちゃん」

「またきていいの?」
私はただの営業の言葉なのに、本気にしてしまった。

考えれば、誰にでも同じことをいっていることくらい解っているのに、


バカな女だとおもわれたかな?


「暇つぶしにでもきてよ、別に売り付けたりしないからさ」


詠士は意外に優しいことをいってくれた。


「ありがとう、毎日きちゃうかも」


私は何故かこの場所を離れたくなくて、無理矢理会話を繋げてしまう。
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