ゆびきり
「いらっしゃい。ゆっくりしてって。泣き止むまで付き合うよ」


彼女は優しくそういってくれた。


私は少しの間、何も話さず、彼女の詩をみていた。


他の詩を売る人とは違い、彼女は普通の便箋に詩を書いていた。


「お手紙みたい」


ぽつりとそう呟く私に、笑顔でこう答えてくれた。

「それが私の狙いなの。詩をどれだけ、その子の心に素直に受け止めてもらえるか考えてさ、お手紙ってなんかもらえると嬉しくなるじゃん?まあ私の手紙は有料だけどね」


笑いながら彼女はそういった。

つられて私も笑ってしまった。

不思議だけど、この子と話しているとおちつく。


ずっと前から友達みたいな、彼女になら心を開いても大丈夫なきがした。


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