ゆびきり
「結婚するの。それで、二年くらいLAにいってアーティストの歌詞かくんだ」


あまりのスケールの大きな答えに、私はなんといったらいいかわからなかった。


アーティスト?海外?プロの詩人になるってことで、結婚もする?

結婚するというのに、全然幸せそうにはみえなかった。


「旦那さんのこと愛してる?」


私はおめでとうと言う言葉より、その言葉がすぐにでてきた。


梨由は、横に首をふった。


「何故?好きでもない人と結婚できるの?」

「今、赤ちゃんが私の中にいるの。誰の子かは知らないけど、私の父レコード会社の社長でさ、優秀な彼なら家庭も安泰で、好きな歌詞もかけるし、愛がなくてもメリットがある。それでいいの」


梨由はどこか自分に言い聞かせているように見えた。

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