ゆびきり
繋ぎのトークには興味はない。


あの街で流れていた曲を聴きたい。



「新曲、よく有線ながれるよな」



詠士がテレビをみながらつぶやいた。



「そうだね。なんか、よさそうだよね」



私は詠士の前で、梨由を褒めていいのかわからなくて、ぎこちない言い方になってしまった。



「いい曲だよ。悔しいけど、認めてやる」



そう言った詠士の顔は、なんだか優しさの溢れた表情をしていた。



そんな顔が私をしめつけるんだよ。


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