ゆびきり
ある日、ポエムで詠士と梨由が二人きりに初めてなったときがあった。



そのとき、やっと二人が言葉を交わした。



「あっ、まだ誰もいないんだ?」



その日は、倫子は用事があり、店てきには休みだった。



みんなはカギの隠し場所を知っているため、自由にいつでも出入りしていた。


「ああ、倫子は今日こないしね」



なんとなく、ぎこちなく答える詠士に対し、自然にいろいろ話しかける梨由。


「詠士と話すのってなんか初めてな気がする」


「ああ、初めてじゃねぇ?」


「だよね、でもなんか不思議、詠士の雰囲気なんか好きだよ」


初めて話す相手に笑顔でそういう梨由に、詠士はどういう対応したらいいのかわからなかった。


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