一生の恋バナ



ようやく、ビルに着き


屋上のドアを開けた。


すると


れいら『近づかないで!

近づいたら飛び降りるから!』


絢香『れいら…やめて!お願い!』


陽介『あっ!美紅ちゃん!』


れいら『なにしにきたの!

美紅の顔なんて見たくないって言ったよね?

誰にも必要とされてない私の気持ちなんて

わかるわけない!』


私『わかるよ…

私がいじめられた時、このまま消えても

誰も悲しまないとか思ってたもん…

でも、それをれいらが救ってくれたんだよ…

それに、絢香や誠や陽介や類も…

れいらを必要としているよ?』


れいら『…美紅の言うことなんて

信じられないし、綺麗事にしか

聞こえない』


私『それともう一人…』


私はれいらに見えるように


私の携帯画面に映し出されている


“通話中”の文字を見せた。


れいら『だ…れ?』


『れい…ら?』


れいら『その声…


お母さん…?』


れいら母『れいらっっ…

今まで本当にごめんね

れいらが無断で紙を置いていなくなった日から

ずっと考えてたの…

私、今までなにをしてたんだろう

大事な娘がいなくなってようやく

気付いたの…

れいら…お願い…

お母さんを許して…

そして…帰ってきて…』


れいら『…お母さんっ 』


…グスンッ


れいらがその場に泣き崩れた。


私はそばに駆け寄っていき、


そっと抱きしめた。


れいら『み…く…ご、ごめんなさい

みん…なごめんなさい…』


泣きじゃくりながら、


れいらは謝ってきた。


私はこの時、


れいらの心にあった


厚い壁を壊せたような気がした。


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