一生の恋バナ
美紅side
いよいよ夜になってしまった。
私は、夜が苦手だった。
幽霊とかそういうのが出そうで怖いというような女の子的な感じの原因でなく
夜になると怖かった。
何か寂しくて。
何かを失いそうで。
だから、まわりに人がいてくれるのは
はっきりいって安心する。
絢香『あっ…みんな見落としてたと思うけど
今日は9時に消灯って書いてあったから
もう寝た方がいいよ』
そういってそれぞれのふとんへ。
誠『狭くない?大丈夫か?』
私『大丈夫。ありがとう。
てかね、どうして私を選んだの?』
誠『どうしてって…
美紅さ、陽介のこと苦手だろ?
しかも、あいつエロいしさ、美紅を気に入ってるみたいで
何するかわかんないだろ?』
私『守ってくれたの…?誠くんありがとう!』
誠『あ、ああ。てか、誠でいいよ』
私『わかった。誠…』
誠『なんか照れんな』
私『照れないでよ。こっちが恥ずかしくなる。
…もう寝よ』
夜中の3時。
私は必ずこの時間に起きてしまう。
そして、星を見る。
月を見るとなんか悲しくなる。
私は、人前では泣かない。
人前では、いつからかどんなに悲しくてもほとんど泣くことがなかった。
いつも、泣かないように、辛いときこそ笑顔でいるようにしている。
でも、夜に星を見るとどうしても涙が出てくる
─どうかお願いです。
この時間だけは弱気な女の子になってもいいですか…
─ガタッ
物音がして、慌てて後ろを見る。
でも、誰もいなかった。
私は涙をぬぐって誠が起きないようにふとんに入った。