イチゴ大福
「ん…」
私が目をあけたとたん、飛びついてきた女の子。
「あかねー!!!うわぁーーんっ!!」
泣きじゃくる女の子。
「麻妃…」
「紅音のばかぁぁー!!!!」
そう言いながら抱きついてきた麻妃。
痛いんだけど…
でもなんか、嬉しいからいいや。
でもね、その前に一つ気になることが…
「しゅう達は!?」
「あー、いまね、集中治療室に入ってる。」
「え、それって…」
「あ、しゅうくんじゃないよ?恭ちゃんだけ!」
「じゃ、じゃあ、しゅうは…?ってか、恭ちゃんは平気なの!?」
「となりの病室で寝てるよ。恭ちゃんもそこまでひどくはなかったみたい。」
「よかった、…ね、わたし達どうして助かったの?」
「葵達が助けてくれたの」
「葵達が…?」
「うん。駄菓子屋さんの前にいるって言ってたくせにいないし、買ったもの全部置いていってるなんておかしいっていって、聞き回ったら、連れていかれたところ見たって人が居たみたい。」
「だから、来てくれたの?」
「そう。その目撃者って女なんだけどね、
その子、誘拐した奴らを知ってたみたいで、
全部教えてくれたよ。」
「あ、だから場所もわかったんだ…」
「びっくりしたよ、葵がみんなに紅音が誘拐されたって言ったらさ、みんな慌ててバイク乗って行っちゃったんだもん。私はバイク乗れないからさ、タクシーで行ったの!」
「そんな危ない場所にわざわざ行かないでよ!」
「やだよ!どうせ、紅音だって同じことするでしょ?」
「だって、私は麻妃よりも強いもん!」
「強い弱い関係ないの。親友助けたいって思うのは当然のことでしょ!?」
「う…、それはそうかもだけど…」
「とにかく!紅音が無事で安心したよ。
一応、明日には退院できるらしいからね」
「よかった!それじゃぁ、鍋パーティーできるね!って、だめか。恭ちゃん達はまだだもんね。」
「また今度にしようか。」
「ごめんね、麻妃…」
「え?なにが?」
「だってさ、麻妃、言うつもりだたでしょ?」
「いや別にね、仕方ないもん。気にしないよ!」
「ありがとね。っと、そういえば葵は?」
「葵?さっきまでそこにいたけど…。
ってゆうか、また中学ん時と同じこと言ってたよ。」
「え、あー、俺のせいだって?」
「そ!だからもう、近づくなって。」
「馬鹿だよねー!そんなことで近づかなくなるんだったら、もっと早くから近づいてないっての!」
「ほんとにねー!
一緒にいたいからいるんじゃんね!」
「ほんと、馬鹿としか言えないね…!」
「そんなこと言いながら泣いてんのはどこのどいつよ。」
言われて気づいた。
私の頬には生暖かいものが伝っていたことに。
「いやさー、嬉しいじゃん?みんながそうやって心配してくれるの。」
私は精一杯の笑顔でそう答えた。
みんなの優しさが、嬉しいんだよ。
「ふふっ!そーね!」
麻妃もまた、泣き出しそうになってる。
「私…ね、
みんなと会えてほんとに良かったよ…っ」
「…っ!わた、わたしもだよぉー!!」
むぎゅぅぅ
苦しい、けど、
あったかいや。