イチゴ大福
病室に向かう私達。
「ねぇ、あれ、レンじゃない?」
麻妃が赤髪の男を指さして言った。
「ほんとだ!ねぇ、行こうよ」
私はそう言って、麻妃の手を引きながら走っていった。
「レン!」
私はレンに声をかけた。
「…!紅音!大丈夫だったのか!?」
レンは驚きながらそう言ってきた。
「もちろんっ!」
私がそう言ってピースしたら、
「よかった…」
そういいながら抱きついてきた。
同い年だろうけど、なんか弟ができた気分だな。
なんて思った。
「あ、そんなことよりさ、レンは平気なの?」
私は抱きしめ返してからそう聞いた。
「俺はそこまでひどくなかったけど、恭弥さんが…っ!」
そう、悔しそうに言ったレン。
「うん、聞いた。でも、恭ちゃんって強いんじゃないの…?」
私がそう言うと、
「だからだよ。弱い俺達には弱い奴が数人しか来なかったから…。でも、恭弥さんは…10人がかりだったんだよ。
それでも俺たちのこと心配してくれて、守ってくれたんだよ…っ!
情けねぇ…」
そう言ったレンの目には涙が浮かんでいた。
「やっぱり、恭ちゃんは優しいね…」
麻妃がそうつぶやいた。
「うん…。でもね、私、心配なんてしてないよ。」
私がはっきりとそういうと、レンと麻妃は驚いたようにこっちを見てきた。
私は続ける。
「だってさ、恭ちゃん、そんなことで死ぬほど弱くないと思うんだよね。
それにさ、二人とも気づいてる?
わたし達を襲った奴ら、相当弱いよ。
だってさ、あれだけヤられた私がすぐに退院できる程度の怪我だよ?
武器の使い方もわからない、弱い集団だモン。
だからね、そんな奴らに絶対負けないって、私は信じてるから。」
私はそう、笑顔で言った。