イチゴ大福

「居場所がわかったんすか?」

俺はそうたずねた。

「居場所はわかったけど、よ。
まだ勇気が出ねぇんだよ…
愛してくれたって言っても、結局俺は捨てられたわけで、会ったときになんて言われるかわかんねぇんだよ…
そう考えると踏み出せねぇんだよな…」


…初めて見せたせいじさんの弱い部分。

頼ってくれたことが嬉しい。

俺を信じてくれてるって思えるから。

「なぁ、せいじさん。
言われた時…なんて、そんなこと考える必要ないと思うけどな。俺は。
会いたいなら会えばいい。それだけの話すよね?」

「…簡単に言うな、」

「そりゃあ他人事ですからね。
…でも、やって後悔、やらずに後悔、
せいじさんはどっちがいいんすか?」

「…そーだよな。
やらなきゃ始まらねぇよな。
おし!今から行ってくらぁ!!!」

そう言って飛びだしていったせいじさん。

「え、ちょ、今!?」


そんなツッコミはしたけど…
ま、いいか。

「頑張れよ!せいじさん!!!」

そう、せいじさんが出ていった扉に向かって叫んだ。


“おう!!”

そんな声が聞こえた気がした。





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