イチゴ大福
「そうだな。
それが一番だ。」

そう、頷いたせいじさん。

ちょっと待てよ。


俺達には関係ないってことか?

力になることすら許されないのか?

そんなの、

「いやです」

そう言ったのは俺じゃなくてタケ。

強い目で、そう言った。

「じゃあ、お前らは俺たち二人、どっちか選べるのか?」

そう、脅すように言った恭弥さん。


「ヴ…っ」

悔しそうに顔を歪ませたタケ。

いや、タケだけじゃない。

しゅうも、レンも、

…俺も。


「話は決まったな。
いろいろ巻き込んでごめんな。
…今まで楽しかった。
ありがとな。」

そう言って扉を出ていった恭弥さん。

「なぁ、せいじさん…。
恭弥さんは俺たちと女、天秤にかけて俺達を捨てたってコトですよね?」

俺は、ついそんな質問をしてしまった。

「…まぁ、悪く言えばそうなるだろうな。
でもな、あいつだって色々苦しんでるんじゃないのか?
実際に命令があったのは今日だけど、
その命令があることなんて、わかりきってたろ、
それでもギリギリまで俺達のそばにいたってことは、
俺達の所にいたかったってのと、
俺達と女、どっちをとるか悩みに悩んでたんじゃないか?」

って。

よくわかってるよ、せいじさん。

俺たちはその話を聞いて黙りこくってしまった。

「…これは、お前たちが決めることだけど…」

そう言って話を切り出してきたせいじさん。

「恭弥のところにいってやってくれないか?
危険なのはわかってる。
だから、お前たちの意見が一番重要だ。
少し、考えてやってくれないか?」

そう言った。


優しすぎる。

せいじさんも、恭弥さんも。

お互いのことをお互いが心配して、

理解して、討論して…

俺も、こんな関係のやつがいたらいいのに…

でもな、せいじさん。

俺は悩む余地なんてないんだよ。

「俺は、恭弥さんの助っ人行きます!」

俺はせいじさんの顔を見てはっきりと言った。

「…俺も。」

そう、便乗したしゅう。

レンと、タケも便乗した。

俺たちは、せいじさんのこと裏切ったって言われてもいいはずなのに…

せいじさんは言ったんだ。

「ありがとな。」って。

俺はのぞむ。

せいじさんも、恭弥さんも、

両方、助かって欲しいと。

無事でいて欲しいと…
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