イチゴ大福


俺達はボロボロになりながら戦った。

恭弥さんも、俺たち以上に群がってこられているのにも関わらず、どんどん倒す。

けど、時々見せる辛そうな表情。

限界が近いんだ


そう感じた。

途中で気づいた。

恭弥さんが俺たちのことを守っていたことに。

恭弥さんが倒せば倒すほど、敵は俺たちではなく、恭弥さんの方に行く。

そうすれば必然的に、俺たちも守ることになるんだ。


守られるなんて、情けない。

俺も、守りてぇよ…


でも、今の力じゃ、5人相手するのもギリギリだ。

自分の無力さをしみじみと感じた。

「しゅう…頼むっ!」

そう言った恭弥さん。


なんのことか、最初はわからなかった。

でも、すぐにわかった。

下に、紅音がいるんだ。と。


恭弥さんは、悟ったんだろう。

自分が助けにいけないことを。

だから、俺たちの中で一番怪我の少ないしゅうに頼んだんだ。



…しばらくして、威嚇するようなバイクの音がした。

阿坐彌が来たんだ。

そう、理解した。


阿坐彌が来てからは早くケリがついた。

俺たちはそのまま病院へ運ばれた。


俺達の手当が終わったとき、阿坐彌のトップが俺達の病室へ来た。

俺たちはまだ動ける状態ではなかったので、

首だけそっちを向いた。

男は言った。

頭を下げながら、


「紅音を助けてくれてありがとう」

と。


俺は思った。

この男は強い。と。

俺はなりたい。

せいじさんのように、人のことを考えられるように

恭弥さんのように、優しく

葵さんのように、かっこよく。

そして、この三人のように、強く、

信頼されるような人間に…

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