イチゴ大福

「なんでだ…?


あいつは、

何も考えないで

適当に生きて

甘やかされて

つくされて

気楽に生きてきたやつだろ?

自分を責めることなんてすんのかよ?」


そう。

俺の目からはそう言う奴にしか見えなかった。

いっつもヘラヘラしてて、イライラする。

「…何も考えないように見えた?
あの子、あー見えていっぱい考えてるのよ。
無い頭フルで使ってね、

適当に生きてなんてない。
あの子はいつも、感謝してるのよ?
生きてられて嬉しいって言って。

甘やかされて…まぁ、それは否定できないわね。
葵があんなんだし…
でも、その葵と一緒にいるために、あの子は強くなったのよ…?


つくされて…ねぇ、
つくすもなにも、あの子は何も望んでないわ。
ただ、仲間がそばにいてくれるだけでいいなんて言ってるおバカちゃんだから。

気楽に生きてられたら、どれだけいいのよ。
自分のせいで…なんて、いっつもいっつも自分を責めてるのよ、あの子。
もう少し気楽に生きて欲しいくらいだわ。」

そう言った麻妃は寂しそうで、でも愛おしそうで、

なんだか子供を見守るお母さんのような目をしていた。

「…わるい」

俺はつい、謝ってた。

「別に謝ることじゃないのよ?
確かに紅音をバカにされるのはムカつくけど、
そう見えるのは事実だもの。仕方ない。」

「でも、ごめん。」

「…わかってあげて欲しいな。
あのコは、自分より人のことを優先しちゃうおバカさんなんだってこと。」

「…おう。」

「さてと、紅音呼ばなきゃだね!」

そう言って立ち上がった麻妃。

俺も一緒に立ち上がらせると、少し遠くまで歩いて…

「あっれぇ?紅音がいないんだけどー!!」

そう、叫んだ。

すると、さっきまで泣いていた紅音が扉をあけて飛び出してした。

「わぁっ!!
うふっ!
驚いた???」

そう言って笑った目もとは、少し赤みがさしてた。

「なーんだっ!そこにいたのね!
ほら!恭ちゃん待ってるよ!」

「そーだねー!行きますかぁー!」

そう言って笑い合った二人。

泣いていたことを隠そうとする紅音。

それに気づかないふりをする麻妃。

麻妃に心配をかけないようにする紅音。

紅音が自分から言うのを待つ麻妃。


二人はまるで、親子みたいだ。

きっと…いや、絶対、

この二人は、言葉に表しきれないほど強い絆でつながってるんだろう。

…俺は、そう信じる。



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