イチゴ大福
しばらくくっついてから、葵から離れて荷物の中をあさった。
「ねぇ、プレゼントがあるんだけど」
「ん、俺も。」
やっぱりね
「はいこれ、中身香水ね」
「紅音、香水嫌いじゃなかったか?」
「この匂いは好きだよ」
「ん、」
そう言って丁寧に箱から取り出して手首につけ始めた。
「これなら平気なんだよな?」
「うん」
「ならこっちこい。」
またー?
でも残念、まだあるんだよ
ネックレスがね、
ネックレスの意味、わかってるよね?
私が渡したらどんな反応するのかな
喜んでくれる?
そうだといいな
そしたら安心できんのに。
ね…
「あとこれ、誕プレ!」
そう言って渡した箱
葵はをあけてから、私の方を見た
「ありがとな」
…ねぇ、なんでそんなに困った顔してるの?
葵はそう言って立ち上がり、ゴミ箱に何かを捨てた。
ジャラ
チェーンを捨てたような音が聞こえる。
そのゴミ箱を覗いてみると、そこにはさっきあげた、銀色のネックレス…のチェーンが見えた。
多分、飾りの方はほかのゴミで埋まってるだけ。
ねぇ、なんで捨てたの?
嫌だった?
要らなかった?
もう一つ持ってるから?
私のなんか要らないの?
そうだよ、わかってたはずなのに
葵はチャラくて、遊んでて、女ったらしで
でも、私がいないと女に冷たくて、
いつも優しくて、男気があって
無愛想だし怖もてだけど、それでもかっこよくって
そんな人が私だけで満足するはず無いって
わかってたはずなんだけど…なぁ、
辛くて
悲しくて
ムカついて
イラついて
でもそれ以上に寂しくて
もう、無理だ…
私は気づいたら家を飛び出してた。
行くあてなんてないのに
見つけて欲しいから近場で隠れる
でも、見つかりたくないから遠くへ行こうとする
お金だって持ってない
私が持ってるのは、
ポケットに入れておいたスマホだけ。
ちゃんと持ってきたのはたぶん、連絡が欲しいから。
こんなことしても、迎に来てくれるって思ってるから。