濃いラブコメ
それにしても、素晴らしいメイド服だった。高級そうなシルクが使われていて、一目で分かるくらい、布の質が違う。たまにバラエティーショップなんかで見かける、安いコスプレ用のものとは、まったく比べものにならない。
・・・・・・おそらく、フランス製の本格的なメイド服だ。あの色摩さんが、手に持っているカチューシャの形、あの精巧な刺繍の作り込みは、愛読している雑誌「月刊メイド服の友」の「本格派外国製メイド服特集」の写真で見たことがある。
・・・・・・着たい、と思った。
しかし、目の前には、校長先生がいる。こんなところで、いきなり女装をするのは、いかがなものか?
「着たいんでしょう?」
色摩さんが、笑みを浮かべながら言った。
「・・・・・・でも、こんなところで」
「私が着てくださいと頼んでいるのですから、大丈夫ですよ。校長先生にも、何も言わせませんから」
うわ、色摩さん、校長先生のお尻を蹴った。・・・・・・校長先生うれしそう。
「でも、何でぼくに着てみろなんて?」
「・・・・・・ちょっとね、確かめてみたいことがあるんですよ」
・・・・・・怪しい。やはり何かをたくらんでいるにちがいない。ここは辞退したほうがいいのだろうか?
しかしこんな素晴らしいメイド服を着られる機会なんて、これからの人生にあるだろうか?
でも、さすがに校長先生の前だしなあ・・・・・・。色摩さんの怪しい笑みも気になるし・・・・・・。うーん・・・・・・。