濃いラブコメ


放課後、指定された市民公園に行った。


利用者の少ない、さびれた公園だった。雑草が伸び放題になっており、羽虫がたくさん飛び回っている。すべり台やブランコといった遊具には、クモの巣がはっている。近々取り壊されて、駐車場になる予定だそうだ。


ふつう、告白するのに、こんなところに呼び出すか?

疑問を覚えながら、あたりを見回すと、すべり台の前に、ひとりの少女が立っているのを見つけた。


その少女はこちらに気づくと、ひどく緊張した表情で歩みよってきた。


ゴスロリ、というのだろうか。全身黒づくめの服装だった。顔に、濃い化粧がほどこされている。


うちの学校の生徒じゃないのか?


少女はおれの前に立つと、無言でうつむいた。肩が震えている。見ていて、なんだか痛々しい。


・・・・・・この娘、どこかで見たことあるな。


しかし、ゴスロリの知り合いなんて、おれにはいないはずだが・・・・・・。


ゴスロリ・・・・・・。


ゴスロリ?


「あっ」


思い出した。




昨日の朝、校門の近くでぶつかった女の子だ。




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