濃いラブコメ


何でこの娘が?一体何の用なのだろう?


ゴスロリの少女は、おれの前に立ったまま、下を向いている。緊張しているのか、不安げな表情だ。


おれは、少し考えて、話しかけた。
「昨日は、ごめんな」


「え?」
少女は顔をあげる。


「ぶつかってしまって、悪かったな。ケガはなかったか?」


「あ、あれはぼくの、いや、わたしの不注意だったから・・・・・・」


「いや、たぶんおれのせいだ。おれ、ちょっとわけあってな、女の子とよくぶつかっちまうんだよ。まったくまいっちまうよな」


「・・・・・・そうなんですか」


「で、おれに話って、何なんだ?」


少女は固くなった。そして、顔を赤らめながら、弱々しくつぶやいた。


「あの、その、・・・・・・す、す、好き・・・・・・です。ぼくと、あ、いや、わ、わたしと、・・・・・・つ、付き合って・・・・・・くれ・・・・・・ませんか?」


不器用だけど、必死な告白だった。こういうことは慣れていないのだろう。それでも、勇気をふりしぼって、なんとか想いを口にしたのだ。


・・・・・・断るのが、つらい。

たぶん彼女は、本当におれが好きなわけではないのだろう。ギャルゲー病のせいだ。でなければ、たった一度ぶつかったくらいで、恋に落ちるわけがない。


これは本当の恋ではないのだ。


断らないと。


・・・・・・断らないと。


断るべきだとわかっているはずなのに。




なぜかおれの胸はドキドキしていた。


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