濃いラブコメ


教室に入ると、めずらしくおれよりも早く席についている同級生がいた。


風宮旬だ。
線の細い、きれいな顔立ちをした男で、クラスの委員長を務めている。


「風宮、めずらしいな、こんな早くに」
おれは話しかけながら、自分の席に座った。
「あ、金屋君、おはよう」
風宮は、拭いていた眼鏡をかけながら、あいさつをしてくれた。
「おう、おはよう。ん?どうした?なんかおまえ、顔青いぞ?」
「そ、そうかな?」
風宮はうつむいた。少し様子が変だ。
「気分悪いなら、保健室に行けよ」
「うん、大丈夫。ありがとう」
そこで会話が途切れた。沈黙がおとずれる。


おれは緊張していた。心臓の鼓動が高鳴っている
何でもないふうを装って、教科書やノートをバッグから出し、机の中にしまう。少し手が震えている。
まさか、風宮とふたりきりになれるとは思わなかった。




おれは、風宮のことが好きなのだ。




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