濃いラブコメ
そう、おそらくこれが、ギャルゲー病にかかった理由なんだと思う。ギャルゲー病は、恋愛に興味のない男がかかる病気だという。
おれは恋愛には興味がある。
しかし、女にはまったく興味がないのである。
おれは、ゲイなのだ。
だから、女性に恋愛感情を抱いたことがない。それに危機感を持ったおれの体の男性機能が、ギャルゲー病を発症させたのではないかと、おれはにらんでいる。
この性癖を自覚したのは、中学時代、修学旅行でクラスの男子全員で入浴したときだ。おれは鼻血を出してぶっ倒れた。のぼせたのではない。興奮したのである。
二年、悩んだ。
自分が普通じゃないことが、怖かった。
しかし、悩んだ末、受け入れた。
仕方ない。おれはこうなんだと認めてしまうと、楽になった。
だが、ひとには話せなかった。ばれたらどうなるかと考えると、悪いほうばかりに想像が働いてしまう。
だから、風宮に恋心を抱いても、それを打ち明けることはできなかった。
ばれたら、嫌われる。
絶対に気持ち悪いと思われる。
おれみたいなごつい角刈りの男に好かれて、喜ぶわけがない。
片想いでいい。
近くにいて、時々こうして胸を高鳴らせる。
それだけでいい。それだけで充分だ。それ以上のことは、望まないことにしている。