smile

いやいや、笑い事じゃねーだろ、この手は…

「しみたりしねーの?」

「超しみるよ(笑)」

「痛くねーの?」

「超痛いよ(笑)」

いずれも笑顔で平然と答える海。

俺はなぜかそんな海の笑顔が心配になって、

気づいたら海の両手を力強く握りしめていた。

海は、驚いたみたいで、目を見開いたけど、すぐ今度は心の底から出たような笑顔になった。

「…俺」

こんなに頑張っている海を見たら、俺なんかクズのような存在に思えて、

クズでもできることを、数分の間に考えて、

「…俺、海の為にしてやれることなんて、ほぼないけど、海の為だったら、何でもやるから!

悩みも聞くし、

自主練だっていつでも付き合うし、

応援にもできるだけ行くから!」

と、言った。

海は、「ありがとう」とだけ言って、優しく笑った。
< 25 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop