それは気持ち次第
「謝られる意味がわかりませんけど」

小野田君は相変わらずこちらを見ない。

「いやいや、だって、そういうのは人それぞれだからね。彼女がいないことが決して悪いということではないしね」

私がぺらぺらと言うと、小野田君は一瞬手を止めて、ちら、とこちらを見た。珍しいこともあるものだ。

「いたことありますよ。彼女くらい」

そして通常モードに戻り言った。

「え、じゃあ、クリスマスシーズンにはいたことないの?」

「ありますよ」

「え、じゃあ、何でプレゼントしなかったの?」

「だから、誰が決めたんですか。プレゼントしなきゃいけないって」

「え、だって、そういうものでしょう?」

「何でそういうものなんですか?」

「……皆してるから?」

「皆してたら、僕もしなきゃいけないんですか?」

「……ねぇ、そのクリスマス、彼女に振られたでしょう」

私がぽつりと言うと、小野田君は完全に手を止めてこちらを見た。そして、本当に珍しく表情を作っている。

何でわかったんだ、という表情を。

いや、むしろ、何でわからなかったんだ、と返したくなる。


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