神様に嫌われるその前に
嫌われ者と嫌う者
「神様ってのはさ、何だかんだで可哀想だと思わない? だって、勝手にお願い事されて、叶わなかったら恨まれて、どっかの国では政治の道具にされちゃうんだもの。そんなんじゃ、私たちみんな、神様に嫌われちゃうんじゃない?」


「おい、今この状況でそんなこと言うか?」


「あら悪い?」


辺りは暗闇。
柔らかなベッドの感触を背中に感じ、目の前には、一人の男。
触れ合う素肌。
掛かる吐息。



「ああ、悪いね。萎えるだろーが」


「だってさ、似てると思わない?」


「何が?」



顔を歪めて、ため息をつきながらも、何だかんだで彼はちゃんと私の話を聞いてくれるの。



「神様と私」

「お前と神が? 自惚れてんのかテメーは?」


怪訝そうに眉をしかめる彼。

でもね違うの、自惚れとか、そんなんじゃないの。


「違うよ。
ただ、勝手に利用されて、勝手に愛されて、勝手に憎まれる」



――ほら、私達そっくりでしょう?



屈託の無い笑みを浮かべてそう言うと、途端に息ができなくなった。


だって彼が、息も出来ないほど強く、私を抱きしめたから。





■嫌われ者と嫌う者
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