妄想クリスマス
「…ったく、俺まで余裕なくなっちまったじゃねぇか」
微睡む意識の中。
隣にいる彼が、私の髪を梳くように触れる。
意識も身体もハッキリしない。
私はそのまま目をつむっていた。
「…話が、あるんだ」
彼は私の髪に触れたまま、言葉を紡いでいく。
「さっきはイベント事には興味ねぇって言ったけどさ。
ひとつだけ興味のあるイベントがあるんだ。
だから…け…」
これはデシャヴ?
それとも私、また妄想してるの?
「…続きは起きたら言ってやるよ。
でも、テレ臭いからこっちは先にやるからな」
そう囁いて私の左手をとり。
薬指に冷たい感覚を置いた。
「メリークリスマス。ゆっくり休めよ…」
その言葉と一緒に唇に落ちてきた柔らかい感触。
私の意識はまた深いところへと落ちていった。
【…END】