妄想クリスマス
おかしい。
そう感じたのは、部屋の鍵を開けようとしたときだった。
私以外この部屋には誰も住んでいない。
それなのに。
中から人の気配がする。
ドアの向こうから微かに聞こえるカチャカチャという物音が。
冬の寒さを違う寒さに変換させる。
どうしよう。
こんな時間だし、誰も呼べないよ…。
バクバクと動きの荒い心臓を抱え込むように座り込んだ。
その時。
ガチャっと音をたてて目の前のドアが開いた。
さ、さ、さ、刺される…っ!!
助けて…っ!!
「…なにやってんだ?」
ギュッ、と目をつむった私の頭上から降ってきたのは。
聞き慣れたあの声だった。