妄想クリスマス
「そんなとこに座り込んでないで入れよ」
風邪引くぞ、と。
手を引いてくれたのは。
紛れもなく彼、だった。
「…な、んで…」
「昨日メールしただろ?夜行くからって」
「あ…」
そういえば。
そんなメールもあったような…。
「どうせ忙しくてろくに読んでねぇんだろ?」と。
手を引かれ立ち上がった私の背中を押して、部屋に入るよう促す彼。
何がどうなってるのかわからない。
促されるままに部屋へと足を踏み入れた。
「あ…」
部屋の中は暖房も効いていて、外の寒さと大違い。
ほんわかした空気でいっぱいになっていた。
いや、それだけじゃない。
「いい匂いがする…」
「メシ、まだだろ?一緒に食おうぜ」
後から部屋に入ってきた彼が。
私の頭にポンッと手をのせた。