妄想クリスマス
テーブルに並べられていたのは。
クリスマス定番のチキン、ポテトサラダにバケット、フルーツカクテル。
そして。
キッチンのお鍋からは温かくて優しい匂いが漂ってくる。
「料理、できたの…?」
「失礼だな、お前。
…でも、見よう見まねだからフレンチレストランのシェフと比べないでくれよ?」
テレ隠しのように視線を泳がせる彼。
そして。
「とりあえず雰囲気だけでも」
そう言って。
部屋の明かりを消した。
「わ…」
明るいときは気づかなかった。
テーブルに飾ってあるローソクの明かりがユラユラ揺れた。