Noisy Christmas
「責任取りなさいよ」
冗談混じりに言うと、少しの間思い詰めたような顔をした矢野が、徐に、解りましたっ。と真面目腐った顔をした。
「ちゃんと責任とりますっ。咲子さんの為に男として責任を取りますからっ」
鼻息も高からかに興奮した矢野がきっぱりと宣言した。
それがあまりにも真剣過ぎて私の方が尻込みしてしまう。
「あ。いや。別にそんな。うん。今のはちょっと大袈裟だったかな」
あまりにも思い詰めた顔をして言うもんだから仕事を辞められそうで思わず焦ってフォローする。
「うん。大丈夫よ。そんな、ね。変に真面目に取らないで。ちゃんと国澤の指示に従って仕事すればいいんだし」
苦笑いの私とは対照的に、矢野の真面目顔は一向に治らない。
参ったなぁ。
ちょっときついこというと若い連中はすぐこれだもん。
国澤に退職届とか提出しないでよ。
結局、普段人懐っこくヘラヘラとしている矢野の顔は、飲みの席がお開きになっても変にまじめ腐ったままだった。
あれ?
そういえば、私と飲む意味って、なんだったんだろ?
しっかし、周りが浮き足立ったこんな日に、なんで私は矢野の思い詰めた顔を前にビールを飲まなきゃなんないのよ。
あーあ。