Noisy Christmas
この封筒を渡すタイミングをどうするか。
そもそも矢野がこんな物を書かなければいけなくなった経緯をどう説明するか。
しかし、経緯といってもちょっと責任を取れといっただけだし。
だけど、ゆとり世代にしてみればその責任という言葉の結果がこんな白い封筒に化けてしまったわけだし。
あーっ、もうっ!
何で私にこんな責任押し付けるのよ。
矢野のばかっ。
受理してくださいじゃないわよ。
ちゃんと自分で国澤に渡しなさいよ。
頭の中のグチャグチャをどうにかしたくて、ビールを飲むペースが自然と速まっていく。
「――――だからな、楢崎。俺はずっと前からお前のことを……って、人の話し聞いてんのかよ」
「ん?」
何杯目かも判らないビールを飲みきると、目の前では国澤が呆れた溜息をついていた。
もう一杯頼もうかと定員へ上げた私の手を、国澤が溜息混じりに遮った。
「出るぞ」
しんと冷え切った外に出ると、電飾はやたらめったらキラキラと明るいけれど私の心は灰色だった。
いい加減封筒を渡さなきゃ駄目だよね。
矢野のこと、ちゃんと国澤に謝らなきゃ。
ちゃんと説明して、国澤と矢野のことを説得しよう。
うん。
そうだよ。
辞めさせなきゃいいんじゃない。
ナイスアイデア。
閃いた。と顔を上げれば、自宅マンション前だった。