猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆
兄弟姉妹
「あなた誰?」
探検中の初花は、二階の一番奥の部屋の扉を開けようとドアノブに掛けていた手を慌てて離した。
「すみません」
振り返って驚いた。
この人は……
「あら。もしかしてまた新しい蓮の彼女?」
「また……」
麻未が言っていた事が気にかかり、値踏みするような視線に胃がよじれそうになる。
「モデルさんかしら?」
「え、ええ……わたし」
「いいわ、どうせあなたもいつもの方達と同じでしょう?」
美桜は不安そうな彼女の顔を見て胸がチクリと痛んだ。
わざととは言え、嘘をつくのは心苦しい。
蓮がこの家に女性を連れてきたことはこれまで一度もない。
「何が同じなんですか?」
「あら言わせるのね。兄の何が目的かしら?顔?それともお金?」
「違います!」
「いいわよ、隠さなくても」
「本当に違います!!お金に興味はないですし、顔は…確かにえっと……すごく良いのは認めるけれど、だからってそれが何です?仕事柄 顔のいい人は他にも知っています」
「ふうーん」
「外見やステータスには興味はありません」
「じゃあ蓮のどこがいいの?」
「それは……えっ?」
答えようとすると、彼女が瞳を大きく開いて後方を見たので、初花も振り返ると背後に腕を組んだ男性が瞳を細めて彼女を見ていた。