猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆
ガールズトーク
「さあ。それで?」
そう言うと、日向は美桜を見た。
「さっき言ってた、ここにいる事情を教えてもらってもいいかしら?」
美桜が初花を見る。
初花は怒りを吐き出すように大きく深呼吸すると、二人が座るソファーの前の床にペタッと座った。
「長い話になるわよ?」
「包み隠さず話して。ね?みお」
「そうね、私に遠慮はしないでね」
「わかったわ」
初花は出版社のパーティーで蓮さんと出会った所から話を始めた。
話ながら、あの日彼に近づいたのは陽人のお兄さんだって事を確かめたかったからだけど、いま思えば麻未にうんざりしている彼を見て好奇心を持ったからかもしれない。
「よかった、よかった」
日向はそう言ってトレーに綺麗に並べられたプチガトーからピンク色のマカロンを取った。
初花が『なにが?』って顔を向ける。
「わかっていたけれど、蓮兄が彼女を気に入ってなくて」
日向はにっこりしてマカロンを一口かじった。
「当たり前でしょう!蓮はあの手の中身が空っぽな人が一番苦手なのよ」
『ねっ』って美桜はポットの紅茶を初花のカップに注いだ。
「そうだと思いたいわ」
初花は紅茶を一口飲んで、続きを話し始めた。
パーティーでの彼の行動は妹さんの前だし、キスの事は濁そうと思ったのに東堂ヒナタの鋭い突っ込みに耐えきれず結局話すはめに……
「まったく……」
美桜がシュークリームを持った手を下ろして、初花にすまなさそうな顔をした。
「い、いいのよ」
今となってはキス以上の事をしているので、そんな顔をされたらいたたまれない。
「それから?」
ちょっぴり気まずい空気を日向が面白がるように、続きを促した。